市場のニーズに応えて「ソントン」ならではの商品を開発。これまでになかった新規原料の開発にも挑む。

市場のニーズに応えて「ソントン」ならではの商品を開発。これまでになかった新規原料の開発にも挑む。

市場のニーズに応えて「ソントン」ならではの商品を開発。
これまでになかった新規原料の開発にも挑む。

このストーリーのポイント

  • 育成・教育に力を入れていることに惹かれて入社
  • 試行錯誤を重ねながら求められる製品を完成させる
  • かつてなかった新規原料の開発プロジェクトを担当

ものづくりの醍醐味が得られる、商品開発の仕事。味覚という曖昧なものに挑むだけに、試行錯誤の連続だ。だからこそカタチとなって完成したときの喜びは大きい。

PROFILE
ソントン食品工業株式会社

松本 聖加

R&D本部 研究開発部
油脂製品開発課
2017年入社

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兵庫県出身。理学研究科生物地球系専攻修了。メーカーの研究開発職を志望し、自分を磨ける環境があることに惹かれて入社する。大手メーカー向け製品及び新規原料の開発に取り組む。

人材育成に力を入れている点に惹かれて

ソントンには、同じ研究室の先輩が入社しています。その先輩から「こんな製品をつくっている会社だよ」と見慣れたジャムのファミリーカップを見せられた時、“ああ、これなら知ってる”と、すぐに親近感が湧きました。しかし、当時の私はソントンについて、詳しく知っているわけではありませんでした。メーカーの研究開発職を目指していた私は、数ある選択肢の一つとして、ソントンを意識した程度でした。

そんな私がソントンに入社を決めた理由は大きく二つあります。 一つ目は、メンター面談での経験です。女性の先輩社員と1対1になって本音の話ができる場で、どんな質問にも包み隠さず答えてくださった先輩の姿に、ソントンという企業への信頼感が一気に高まりました。「ここでなら、安心して自分らしく成長できる」と強く感じました。
二つ目は、ソントンが人材育成に力を入れている点です。入社後の研修が半年間と長期にわたることに加え、配属後も外部セミナーなどを受ける機会が用意されていると聞き、自分を磨いて成長し続けられる環境があると感じました。

大学では植物、特にタンポポの葉の紅葉について研究していました。アントシアニンを液胞に多く蓄積している個体は低温に対する耐性が強いのではないかと仮説を立て、研究に取り組み、わざわざ東北地方まで足を運んでサンプリングを行うこともありました。植物が相手ですから、ゼロか100かと割り切れない面も多かったです。例えば紅葉の度合いを評価する際も、最初に決めた評価基準から外れるような例外も多く、明確に評価しにくい場面も頻繁に生じます。こうした曖昧さが研究の魅力であり、奥深さだと感じていました。面白いことにそれは今の研究開発の仕事にも通じる点です。

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試行錯誤を続けてニーズに応える

入社後は半年間の新入社員研修が行われました。特に印象に残っているのは、4ヵ所の拠点を訪ね、様々な部門の業務を学べたことです。研究開発を志望していた私にとって、製造現場や営業部門などの視点を学べたこと、各工場で働く方々と交流できたことは貴重な経験となりました。
何よりも工場では衛生管理や安全管理が徹底されており、入退室のルールなども厳格に定められています。食品に携わる者としての責任と誇りを、肌で感じることができました。

研修後に配属された研究開発部で、私は業務用の油脂製品の開発を担当することになりました。油脂製品とは、バタークリームのような加工品のことです。業務用ですので、製パンや製菓といったユーザー様から営業担当経由で「こういうクリームが欲しい」というご要望をいただき、原料の配合などを工夫して試作品を製造します。サンプルをユーザー様に検討いただき、「もっと保形性を上げてほしい」「味をもっと強めにしてほしい」といったご要望があれば改良を重ねて、最終的な製品へと仕上げていきます。

開発を進める際はユーザー様のご要望にお応えするのはもちろんのこと、安全性や保存性、さらには製造工程でのつくりやすさといったことを多面的に考慮しながら行わなくてはなりません。一度つくってみたら思っていたより甘味が強かったなど、予想外の事態も頻繁に起こります。試行錯誤を繰り返し、目標とする品質に近づけていく地道な作業の連続です。
自ら配合を考え、工夫を重ねていくわけですから、製品開発を主導している実感を得ることができます。その結果、ユーザー様に受け入れていただけると大きな達成感が得られます。何よりも自分の開発した製品が使われたお菓子やパンが店頭に並ぶ光景を目にした時、最高の喜びです。ものづくりの醍醐味を実感します。

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海外メーカーと協力して進める新規原料開発

難しいのは、味の感じ方や口当たりは人それぞれという点です。例えば「口溶けをもっとよくしてほしい」というご要望をいただいて、自分としては納得のいく試作品ができたとしても、ユーザー様はピンとこないということがあります。味も同様で、これ以上甘くするとしつこすぎるのではと思っても、ユーザー様によっては「もっと甘く」と返ってくることもあります。
もちろん営業担当者も含め、それぞれの認識を摺り合わせておくことが大切なのですが、感覚的なものは数字で明確に区切れない面があります。学生時代のタンポポの研究同様、こうした曖昧さが難しさであり、その中でいかにして着地点を目指していくかが面白さでもあります。

現在私が担当しているのが、新規原材料の開発です。まだ進行中のプロジェクトですので詳細にお話しすることはできませんが、私が主担当として任されていることに大きなやりがいを感じています。
通常の研究開発では油や砂糖など、既存の原料、使用実績のある原料を使い、その配合を工夫することで新しい製品を開発します。それに対して今回の新規原料の開発は、今まで使ったことのない全く新しい原料を開発するという、非常に挑戦的なものです。ユーザー様に依頼されたわけではなく、ソントンが自らの判断で取り組んでいるプロジェクトです。背景には油などの従来の原料の価格が高騰し、製品の品質を下げずに価格を抑えるためにはどうしたらいいかという狙いがありました。
具体的には東南アジアのメーカーと連携し、原料や配合について相談しながら進めています。原料として求めるスペックをメーカーに伝え、試作していただいたら送ってもらって、こちらで評価し、フィードバックするという流れです。通常の商品開発でユーザー様とやり取りしているのとは逆の流れですね。
こうしたやり取りを繰り返しながらこちらの求めるスペックを追求していくことになり、今後もやり取りは続いていきます。手応えは十分。完成はそう遠くはないと感じています

新しい原料の開発は、ソントンの商品づくりの上流を担うことになります。ユーザー様や市場のニーズに応えて商品を開発するのではなく、自分たちで生み出したシーズから商品を創造していくという、極めて創造性の高い仕事と言えます。私としては商品開発の担当者として、新しい階段を一つ登ったような感じがしています。
入社8年目でこうした大きなプロジェクトを任されたことは、大変嬉しく感じています。これまでの業務用油脂製品に関する豊富な経験が評価されたのかもしれません。このプロジェクトは私にとって大きなチャレンジであり、この原料を使った製品が店頭に並ぶ日を心待ちにしながら、開発に全力を注いでいきます。

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ソントンの歴史に足跡を刻みたい

今後の目標は、まずは今の新規原料の開発を成功させることに尽きます。あとは油脂製品のクリームを使ってより幅広い製品に応用できるようにしたいという思いもあります。この原料が、将来当たり前に使用されるような原料となって製品の幅を広げることに繋がれば、研究開発者として非常に大きな名誉であり、モチベーションとなっています。

もともと食べることは嫌いではなかったですが、そんなに強いこだわりがあるほうではありませんでした。しかし、ソントンで研究開発職に就いてからは、例えば仲間と一緒にカフェに入っても、「このケーキの風味を引き立てているのは」「このジュースは香料が強すぎるのでは」など、気がつけば食レポを始めていることもあります。帰り道にあえて遠回りして別のスーパーに立ち寄り、今はどんな味覚が好まれているかをリサーチすることもあります。
我ながら食に対するアンテナが高くなり、要求するレベルも上がったと感じています。これは、ソントンで研究開発に携わっているからこそ得られた、新たな楽しみと言えるでしょう。

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