日本の更なる成長をめざして、スタートアップが進むチカラになる。

日本の更なる成長をめざして、スタートアップが進むチカラになる。

日本の更なる成長をめざして、
スタートアップが進むチカラになる。

このストーリーのポイント

  • 法人営業を通じてスタートアップ支援に関心を抱く
  • 自ら望んだ出向先で、スピード感覚と目利き力を磨く
  • デット(融資)にとどまらない、総合的な伴走に真価を発揮する

スタートアップ育成強化に取り組む日本政府。呼応するように三菱UFJ銀行もスタートアップ支援に力を入れています。三菱UFJ銀行だからできる支援やその具体例、醍醐味などについて、第一線で活躍中の担当者が語ります。

PROFILE
株式会社三菱UFJ銀行

篠原 健

スタートアップ営業部
2011年入行

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商学部卒。厚木支店、天六支店、札幌支店にて法人営業として多くの顧客を担当。2020年、社内公募で三菱UFJキャピタルへ出向し、キャピタリストとしてスタートアップ企業への投資業務に従事。2023年にスタートアップ営業部へ帰任。引き続きスタートアップ企業に対する支援業務に従事。

雨の日に傘を差し出す存在でありたい

就職活動で考えたのは、商材の力ではなくて人間力で勝負する仕事がしたいということでした。同時に多様な業界の人と接する仕事にも興味がありました。そこで志望したのが金融業界です。その中でも業務の幅が格別に広いということで、メガバンクに絞りました。
三菱UFJ銀行に決めたのは、インターンシップで出会った行員の方々に惹かれたからです。誰もが高い専門性を持ち、仕事に対して誠実かつ熱く向き合っている。その姿に接し、この人たちと一緒に働きたいと思ったことが決め手になりました。

入行以来、厚木、天六、札幌の各支店で法人営業に従事し、中小企業から大企業、業績の厳しい先から好調な先まで、本当に幅広いお客さまと接することができました。スタートアップ企業、IPO(新規公開株)に向けて一直線という成長企業も多く担当させていただき、新しい技術、新しいサービスを強みに「世界で闘いたい」と燃えている経営者からは多くのことを学ばせていただきました。ぜひ自分もその成長のお手伝いをさせていただきたいと思ったものです。
同時に、もどかしさを感じたことも否定できません。成長企業は必ずしも業績が好調というわけではなく、中には将来の売上は期待できるかもしれないが現状は赤字続きということも珍しくありませんでした。例えば札幌支店で担当していた創薬系スタートアップからはデットによる支援を求められたのですが、技術力は高く評価できるものの売上がまったく立っていない状態で、銀行としての支援は躊躇せざるを得ませんでした。

「雨の日に傘を差し出す存在でありたい」。そんな想いが私の中で強くなってきた頃、目にしたのがグループ会社の三菱UFJキャピタルへの出向者募集という社内公募でした。三菱UFJキャピタルは、日本のベンチャーキャピタル黎明期の1974年に設立以来、半世紀にわたってスタートアップの成長支援を続けてきた企業で、実績は業界トップクラスを誇ります。
公募を目にした瞬間、私は「これこそ自分の天職だ」と直感。迷うことなく応募し、採用が決まりました。出向でしたが、私としては転職して新天地に赴くような気持ちでした。

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ゼロイチで疾駆する経営者に伴走

三菱UFJキャピタルのビジネスはシンプルです。全国にある有望なスタートアップを発掘し、デューデリジェンス等を経た後、基準を満たせば出資。その後、株主としてハンズオンで関わり、IPOまで伴走するというのが基本的な取り組みでした。
私自身、ここで様々なスタートアップの出資に携わりましたが、量子コンピュータや宇宙など、いわゆるディープテック系が多かったです。世の中で脚光を浴びる前の技術やサービスにいち早く触れられることは非常にエキサイティングで、日々、新たな発見や驚きを感じながら過ごしました。

スタートアップの経営者は本当に魅力的で、リスペクトできる方ばかりというのも私にとっての喜びでした。学生時代に一念発起して事業を始めた方も多く、自分にはとてもそんな勇気はありませんから、それだけで尊敬してしまいます。まだ世の中にない新しいモノやサービス、価値を作り出す、いわゆる“ゼロイチ”にチャレンジし、夢を追いかけて疾走する姿は限りなく魅力的でした。
そうした経営者に寄り添って一緒に走ることが、キャピタリストである我々の仕事です。デットではなくエクイティ、つまり融資ではなくて投資ですから、ある意味当事者として成長を支えていくわけで、これまでとは少し異なるやりがいも感じました。例えばあるロボットベンチャーからはロボットのマーケティングや人材採用についてもご相談をいただき、実際に採用面接に同席したこともありました。こうした当事者感覚は大きな醍醐味でした。

三菱UFJキャピタルに出向していた期間は3年間。出資してからIPOまでは数年を要することが普通ですから、出向期間に出資先がIPOすることはありませんでしたが、私自身は多くの学びを得ることができました。
その一つが、スピード感覚です。出資候補先になりそうなスタートアップの情報は銀行や証券会社、会計事務所などによる紹介やネットで拾った情報なのですが、「行けそうだ!」と思ったらすぐに行動を起こさないと他社に取られてしまいます。どのような投資判断を下すにしても、まずは経営者に会わないことには始まりません。早い者勝ちなのです。すぐに飛び出して先方に面会を求める、そんなフットワークの大切さを学びました。

もう一つ磨かれたのが、目利き力です。スタートアップの革新的な技術、前例のないビジネスモデルが成功するかどうか、誰も保証はしてくれません。ブルーオーシャン(競争が少なく未開拓の市場・ビジネス領域)だから成功するとも限らないですし、起業時の事業はうまくいかなかったけれど経営者が素晴らしく、方向転換して事業を成功させたということもあり得るのです。いわゆるエッジの効いた企業ばかりですから、その見極めにはこちらもエッジを効かせなくてはなりません。財務諸表が読めれば十分ではないのです。こうした目利き力を学べたことも、私の財産になりました。

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オールMUFGでの支援にも取り組む

2023年に三菱UFJ銀行に帰任し、スタートアップ営業部に配属されたのは、当行がスタートアップ支援に本腰を入れる中で、私が培った経験や知見を活用したいとの狙いがあったからだと受け止めています。
政府がスタートアップ育成強化に関する5か年計画をまとめたのは2022年のこと。ユニコーン(企業価値が10億ドル以上の未上場企業)を将来的に100社に増やすとの目標が掲げられました。この壮大なビジョンの実現に貢献し、日本の新しい未来を共に拓いていくことは、トップバンクである三菱UFJ銀行に課せられたミッションです。そうしたビジョナリーな想いのもとでスタートアップ支援に力を入れていくことになったのです。

スタートアップ営業部での私の業務は三菱UFJキャピタル時代と同様で、スタートアップ企業担当の法人営業として幅広い業種を担当。デット支援を中心に、将来のユニコーン企業の創出に向けた活動に取り組んでいます。
例えばスキマバイトという新しい働き方を創出したスタートアップには、まだ事業が赤字の段階でお目に掛かりました。黒字に向けてドライブをかけていこうという状況で、私は10億円の融資から支援をスタートさせました。このスタートアップは見事にIPOを達成したのですが、そこに向けて主幹事証券会社は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、株主名簿管理人は三菱UFJ信託銀行と、オールMUFGで支援させていただきました。融資枠も当行単体で100億円まで拡大しています。
スタートアップのCFOをお招きして、MUFG社員に向けたウェビナーも開催。人手不足に悩む取引先へのソリューションの紹介を行いました。このように単に融資だけにとどまらない、グループ全体を巻き込んだ支援ができました。

新たなモビリティサービスに対する支援も印象に残っています。このスタートアップに対しては、電動二輪車を動産受託することによる資金提供を日本で初めて実施。併せて事業拡大に向けて、三菱UFJ銀行の店舗に電動二輪車のポートを設置する取り組みも行いました。
CO2排出が少ない電動二輪車を地域の人々に活用いただくことは脱炭素化と同時に交通利便性の向上につながり、銀行支店という駅前立地の有効活用、放置自転車の削減にもつながっています。東京から始まった取り組みは今では全国に広がっており、広く社会課題の解決に貢献できていると感じます。
いずれのスタートアップにおいても、経営者の事業に賭ける想いは熱く、そのエネルギーを身近に感じられること自体が私にとってのやりがいです。夢を追い続ける姿にはリスペクトしかありません。

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スタートアップ支援ならMUFG

スタートアップ支援を行う上で、三菱UFJ銀行ならではの強みとは何でしょうか。
一つがグループ力です。MUFGにはスタートアップ支援に力を入れている企業が多く存在しています。スタートアップから求められることが多様化、複雑化している中、グループ全体の力を結集すれば、最適解を導き出せると感じています。

そして顧客基盤も、大きな強みです。日々、当行が過去より積み上げた顧客基盤を活用し、積極的にビジネスマッチングに取り組んでいます。最近では、単なる販売先や取引先を紹介することに留まらず、三菱UFJ銀行自身がマッチングの相手になることがあります。電動二輪車の事例はその典型で、当行の支店の敷地を活用することで、事業の拡大に結びつけられました。スキマバイトのスタートアップに対しても、三菱UFJ銀行の新規口座開設キャンペーンを通じた新規登録者獲得を行いました。
また、グローバルも強みと感じています。スタートアップ企業が日本を飛び出して世界で闘おうというとき、世界に張り巡らされた三菱UFJ銀行のネットワークは大きな力になるでしょう。海外支店も日本のスタートアップには関心を寄せています。

足元、スタートアップM&Aの枠組み構築も検討中です。日本のスタートアップの出口戦略はIPOが一般的ですが、アメリカではM&Aが主流です。三菱UFJ銀行もM&Aの優れたノウハウと人材を有しているので、経営者の意向や戦略に応じてIPOに限らない幅広い出口を提案していきたいと考えています。
このように単なるデットにとどまらない幅広い貢献ができることが三菱UFJ銀行の強みであり、我々にとっての面白みなのです。

今後私がめざすのは、「スタートアップ支援なら三菱UFJ銀行」との認識を広めていくことです。現在、日本で上場する企業は毎年100社ほど。そのすべてに我々スタートアップ営業部が携わることが理想です。
そして私個人の目標は、「三菱UFJ銀行に相談するなら篠原」と認識されるようになることです。そのためにも今後も多くのスタートアップに伴走し、お客さまと共に事業拡大、成長に取り組んでいきます。

スタートアップに携わる醍醐味の一つが、誰も見たことのないような技術やサービスに触れられることです。その瞬間のワクワクは、言葉に表せません。
支援に携わるには誰よりも先にそれらを発掘しなければなりませんから、最も大切なのは常にアンテナを高く張って最先端の情報をキャッチする姿勢です。皆さんもスタートアップ支援に携わりたいとお考えなら、あらゆるジャンルに興味を持って積極的に関わり、この領域なら誰にも負けないという強みを身につけてください。好奇心こそ、すべての起点です。

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