金融システムというインフラを安全かつ安定的に稼働させる。その使命感のもと、社会貢献をめざすことが システムのプロフェッショナル。
金融システムというインフラを安全かつ安定的に稼働させる。
その使命感のもと、社会貢献をめざすことがシステムのプロフェッショナル。
三菱UFJ銀行
中曽 爽香
三菱UFJインフォメーション テクノロジー(出向) 業務基盤第三部
2018年入行/理工学研究科卒
2018年、システム・デジタル採用として入行。約1年間の研修期間を経て、三菱UFJインフォメーションテクノロジー(MUIT)へ出向し、チャネル基盤部に配属。チャネル基盤部はダイレクトバンキングシステムやテレビ窓口システムをはじめとした対顧客システムの基盤を担当する部署で、後に現在所属の業務基盤第三部に改編された。現在はダイレクトバンキングシステムを担当、着実にプロへの道を歩んでいる。
システムを通して広がった世界、人の役に立つシステムを手掛けたい
大学、大学院ではスマートハウスの研究に取り組みました。具体的には居住空間に埋め込まれたセンサーから生体情報を取得し、その取得された情報から照明、空調、音をコントロールすることで、一人ひとりに適した居住空間を実現するものです。大学院では、ドイツ・ミュンヘンの研究室へ留学し、一つのシステムを設計・構築するテーマに取り組みました。どうすれば人の役に立つシステムをつくり出せるのか、メンバーとアイデアを出し合い、試行錯誤の繰り返しでした。時には、言葉では伝わらないこともありましたが、その過程で、バックグラウンドの異なる人たちともつながることができると知り、システムは世界共通言語であることを実感。自分の世界が広がったと感じています。こうした経験を通じて、将来は人の役に立つシステムを自分で設計・構築したいと考えるようになりました。就職活動では、システムに関わる仕事・企業を幅広く検討しました。そうした中、当行の就活イベントに参加したところ、当行が金融システムの企画、開発から、保守まで一貫して携わっていることを知りました。自分で手掛けたシステムがお客さまに利用され、フィードバックを受けながらより良いものをつくり出すことができる。まさに私がやりたかった仕事がここにあると感じた瞬間でした。また、グローバルに働くことができること、金融システムを介して多くの方々の暮らしに貢献できることにも魅力を感じ、当行への入行を決めました。
充実した1年間の研修、入行2年目で基盤の設計・構築を任せられる
入行してから配属までの約1年間は研修でさまざまなことを学びました。この研修は非常に充実したもので、当行ならではのものだと思います。最初の支店OJTの後に受けたのが、英語研修です。同期との会話も含めて一日中英語を話すという、さながらプチ留学状態で、メール術、会議でのコミュニケーションなど実践的な英語を学びました。そして、IT研修ではCPU、メモリー、ストレージなど、システムの基礎を学ぶことから始まり、Linux、Javaのハンズオンを実施することで、基盤系、アプリケーション系の知識を体系的に学びました。この研修を通して、しっかりとしたシステムの基礎力を身につけることができたと感じています。研修が終わると正式にシステム・デジタル部門の各部署へ配属されるのですが、研修期間中に各部署の先輩方との座談会が用意されているため、業務内容や部署の雰囲気を理解したうえで希望を出すことができるようになっています。システムの全体感を把握できる「基盤系」の部署に希望を出した私は、研修終了後にMUITへ出向となり、最初に本格的に担当した案件が、本人確認画像アップロードシステムの開発でした。在留外国人の方が口座を保持するときに、在留カードなど本人確認のための証明書を支店に持って行かなくても、画像をアップロードすることで登録できるシステムで、私はその基盤であるWebサーバ、アプリケーションサーバの設計、構築、テストの担当となりました。当時はシステムの知識も乏しく、構築の経験はゼロ。不安しかない中で、先輩からシステムの基礎、設計、構築、テストをはじめ、一人前の技術者になるために必要な知識をゼロから教えていただきました。環境構築については自宅でサーバ構築を行い、自分でも実際に作業することで理解を深めていきました。設計においては、業務要件の実現のために仕様を調査し、設計、実装、テストを繰り返しました。また、「ただ知識のインプットをするだけでは実にならない。自分で調べる力をつけることが重要」という先輩の教えのもと、自分で考えて調査する習慣をつけることで、インプットした知識が徐々に実践力として自分のものになっていったと思います。このように入行2年目という早い時期に設計や構築を任せていただいたことでシステムのプロとしての素地が培われ、この経験が現在担当しているダイレクトバンキングシステムの案件にも活かされています。このMUFGの若手育成の風土は、今後私も継承していきたいと考えています。
「若手に任せ、若手を育てる」更改案件のチームリーダーとして実感
3年目から三菱UFJダイレクトというインターネットバンキングシステムの更改を担当することになりました。担当当初は、案件知識も乏しく不安もありましたが、担当となったからには、このプロジェクトを完遂したいという使命感のもと、案件知識、新しい技術のインプットに努めました。やがて、10名ほどのチームリーダーにアサインされ、現在は、案件推進業務として、各種タスクのスケジュール管理、他部署との調整を実施するほか、積極的に潜在的な課題を見つけ自分なりに解決策を模索し、課題解決に向けた検討も行っています。当プロジェクトは数百名規模の関係者がいるため、案件推進には関係者との信頼関係が重要です。どうすればチームとしてより良いシステムに貢献することができるのかを考えながら、関係者への思いやりや感謝の気持ちを持って丁寧なコミュニケーションを心掛けています。また、この更改案件では、稼働統計効率化やシステム構築の自動化といった新技術導入も担当していますが、現在は導入にあたっての基本方針の策定や設計を実施しています。設計を進める過程で私は、自動化するための検討項目を他システムに役立てられないかと考えるようになりました。そんなとき、「ほかのシステムにも適用できる標準的な設計」をつくってみたらどうかと先輩に背中を押していただき、自動化施策メンバーとして検討を進めていくことになりました。若手であってもやりたいと思うことに対して、周囲が「よし、やってみよう」と背中を押してくれるので、自信を持って進めることができました。この施策は直近で最も私の成長につながった経験であり、「若手に任せて、若手を育てる」文化が根づいていることを実感しました。また、自分が設計したものが形になっていくので、苦労も絶えませんが、とてもやりがいを感じています。
主体的に考え、挑戦し、他メンバーと協業できるリーダーへ
昨今、AI、量子コンピュータといった技術革新をはじめ、システムを取り巻く環境は大きく変化しています。対して金融システムは社会インフラである以上、どんな状況においても安全・安定的に稼働させる必要があります。そのためには、誰もがリーダーシップを持って主体的に考え、常に挑戦し続けることが大切と考えています。誰かの指示を待っているだけでは、議論は滞留し改善すべき点も見過ごされてしまいます。一人ひとりが主体的に課題を見つけ、解決策を模索することがより良い金融システムの実現につながります。実際、新技術に挑戦した際は不安も大きかったのですが、一歩踏み出してみると周りの方々から挑戦を後押ししていただき、取り組みを加速させることができました。MUFGでは「お客さまが利用されているシステムをより良いものにしたい」という真摯な想いが共有されています。システムをチームで協業してつくり上げていくうえで信頼関係が重視されていることが背景にあると感じています。主体的に考え、挑戦し、他メンバーと協業できるリーダー――。私はこれが次世代システムのプロフェッショナルの姿と考えています。その姿に向かって、日々まい進していきたいと思っています。