未知の分野の研究に挑む。着実に経験や知識を身に付け、今では重要な役割を果たす

未知の分野の研究に挑む。着実に経験や知識を身に付け、今では重要な役割を果たす

未知の分野の研究に挑む。
着実に経験や知識を身に付け、今では重要な役割を果たす

このストーリーのポイント

  • 大学、大学院で研究を続ける。博士課程でなく企業での研究を選ぶ
  • 最終面接で「研究所で働いてほしい」という提案を受け、マエカワへの入社を決める
  • 新たな分野への研究ゆえ苦労したが、周囲のサポートもあり成長を続ける

企業での研究は、答えがなかったり、自分一人の力では解法へのルートを切り開けないケースがあり得る。改めて、研究の奥深さや難しさを知るものの、マエカワには一緒に悩んだり、相談に乗ってくれる仲間が揃っている。多くの研究者が活躍していける要因もそこにあるのかもしれない。

PROFILE
株式会社前川製作所

H.M.

技術研究所
熱システム技術グループ
2021年入社

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埼玉県出身。工学研究科 環境共生工学専攻修了。大学2年次から微生物の研究に着手。大学院修士課程では、研究成果をまとめた複数の論文が学術雑誌に掲載される。マエカワでも研究職として従事。未知であった熱力学、流体力学の分野で実績を積み重ねる。

大学では研究に没頭。企業でも何らかの形で続けたいと願う

私が理系に進んだ理由は、数学が大好きだったからです。色々な解法ルートがあるものの、最終的に辿りつく答えは唯一つ。しかも、自分で答えを導き出していけます。そういうプロセスが好きな上に、答えが合致した時の達成感や嬉しさが堪りませんでした。大学では、理工学部に進学しました。

大学で打ち込んだことは二つあります。一つが研究活動です。学部2年次に研究室を訪問し、研究活動を始めました。通常は学部4年次から研究室に配属されますが、「早く手を動かして研究をしてみたい」と思い、興味のあった微生物の研究を行っている教授を訪問したことがきっかけです。高校生の時に生物学に興味を持ち、たった1つの細胞からなる微生物が見えないところで何をしているのかを知りたいと感じたことから、微生物の研究を選びました。

その研究室では、人間が住めないような極限環境に住む微生物を研究対象としていました。研究がとても面白く、博士課程への進学を考えた時期もありましたが、何かを解明して終わるのではなく、目に見えるモノを作り社会に貢献したいと考え、就職の道を選びました。

もう一つ打ち込んだのが、部活動です。先輩に声をかけてもらい、マーチングバンド部に入部しました。パフォーマンスが格好良く、憧れて入部したものの、担当したトランペットは未経験だったため、必死に練習しました。全国大会も経験し、なにより素晴らしい仲間に出会えたことが、私にとっては最高の宝物になりました。

就職活動の時期を迎えた段階で、大学院での研究と親和性のあるバイオ系の企業に入社したいと考えました。ただ、それはかなり狭き門。そのため、幅広い業界の技術職や研究職を見ていました。ある日、学内で開催されていた合同企業説明会に参加した時に、企業概要の説明を受けた1社がマエカワでした。印象的だったのは、説明に来ていた人事担当者が女性一人だったことです。他社を見ても女性だけの会社は珍しく、私にはとても印象的でした。その後本社で行われる会社説明会にも参加することにしてみました。

並行して業界研究を進めて行く中で、機械メーカーや部品メーカーでは客先がバイオ系や食品系、化学系である場合があり、間接的にでもバイオの分野に関われることを知りました。前川製作所もバイオ業界との関わりがあることがわかり、面接を受けることにしたのです。志望動機を聞かれた時も、その話をさせていただき納得してもらえたことを覚えています。

最終的にマエカワへの入社の決め手となったのは、面接終了後に「ぜひ技術研究所で活躍してほしい」と言っていただけたことでした。他社は研究志望で入社しても、「他の部署への配属になる可能性が高い」と言われていました。それだけに、純粋に嬉しかったです。私の中では、「分野が変わったとしても研究は続けたい」という気持ちがあったからです。

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多様な業務。5年掛かりの長期プロジェクトも手掛ける

入社後は、2ヵ月間ほどの研修を経て技術研究所で働くこととなりました。面接で呼びかけていただいていたとは言え、「実際の配属部署はどうなるのか」という不安がありました。そのため、発表された時はほっとしました。ただ、配属先は私にとって全く未知の熱力学や流体力学を専門としたグループでした。面接で「微生物系の研究もある」と言われていたので、それに関われたら良いなと少し期待していました。それでも、機械系の会社ゆえ自分が今まで学んでこなかった分野への配属であっても前向きに受け入れようと思いました。

未知の分野での研究でしたので、配属当初は苦労の連続でした。とにかく、専門用語が全くわかりません。先輩からすれば、「これは基本用語」だというレベルでも私にとっては、それすらわからないということが多々ありました。そのため、与えられた業務を行ったり、会議に参加する中で、分からない用語を自分なりに調べることや、進捗報告の場で実施内容を説明し、アドバイスをもらうことで少しずつ理解を深めていきました。もう一つ役立ったのが、第一種冷凍機械責任者という資格試験の受験でした。これは、技術系の新入社員であれば1年目に受ける試験なのですが、その勉強を通して基礎的な知識が身につきました。

私が現在担当する業務は大きく三つです。一つ目が、COPEL(コペル)のモデルベース開発です。COPELとは冷凍・冷蔵倉庫、食品工場向けにマエカワが開発した、省エネルギー、ノンフロン、省スペース化を実現する空冷コンデンシングユニットです。実機(試作機)を作る前に、机上でシミュレーションを行い、機能性や操作性を検証することができれば、開発のスピードアップやコストダウンにつながるという考えのもと、産学連携している共同研究先の先生の協力も得ながら開発を進めています。これは私が入社する以前からキックオフし、5年以上にも及ぶプロジェクトとなっており、現在はシミュレーションができるようなモデルを作っている段階です。完成した暁には、設計支援ツールとして社内展開をしていく予定になっています。

二つ目が、流体解析です。こちらは、営業が進めている案件のなかで、依頼された時に実施しています。多いのは、冷凍・冷蔵倉庫内の気流解析です。依頼を受け、担当者とすり合わせを行い、解析を実施し、結果をまとめて報告するというのが基本的な流れになっています。解析という業務は、突き詰めようと思えば際限がないだけに、いずれの案件でも依頼者の意図をくみ取り、解析手法や納期などを相談しながら進めていくようにしています。実案件を通して、他部門の方と関わることになるのでとても良い経験となります。

三つ目が、配管内のオイルの光学計測です。流体工学・センシングを専門にご研究されている先生が構築した新たな光学計測技術について指導いただいています。今後マエカワの技術に組み入れ、それを活かして社内展開することでさらなる製品開発につなげていきたいと考えています。

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若手研究者も活躍できる環境がある

何かわからないことがあった際に、尋ねに行けば丁寧に教えてくれます。また、月一回のペースで上司と1on1ミーティングを行う機会があり、困っていることや今後のキャリアなどを相談できます。若手であるからと言って、意見を言いにくい雰囲気はないと感じています。入社して4年目を迎えましたが、こうした環境は変わらないのでありがたいです。

また、1年目の時から外部の講演会や研究会などにも何度も参加し、情報収集をさせてもらっています。入社2年目で学会での発表も経験させていただきました。研究所にも女性のメンバーが何人かいます。男女問わず、チャンスを与えてもらえる会社であると感じています。

もう一点、有難いのはキャリア支援が充実していることです。資格取得奨励制度もその一例です。私自身も業務知識を高めようと思い、入社3年目に難関資格であるエネルギー管理士試験に思い切ってチャレンジしました。見事合格することができた際には奨励一時金も支給いただきました。もちろんテキスト代や受験代も負担してもらえます。また試験が土日の場合でも出勤扱いになるので、こういう点も良い制度だと感じています。

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専門性を磨き、自分の強みや得意領域を確立したい

今後のキャリアビジョンは幾つか思い描いていますが、まずは目の前の仕事をやり遂げて成果を出すことが直近の目標です。特に、COPELのモデルベース開発はできるだけ早い時期にアウトプットを出したいです。社内展開にあたっては、さまざまな部署が絡んでくるので、自ずとハードルが高くなります。どうしても、自分の力だけでは乗り越えられないこともあり得るので、周囲の協力も得ながら進めていきたいと思っています。

長期的なビジョンという意味では、自分の強みや得意な領域を確立したいです。「このテーマや分野についてはMさんに聞けば大丈夫」と言われるような存在になれればと願っています。先輩方の中には、研究職として10年・20年ものキャリアをお持ちの方もおられます。専門性を極めるとなると時間が掛かるものなので、焦らずじっくりと実績を積み重ねていくことが大切になってくると考え、日々取り組んでいます。

就活生の皆さんには、小さなことでも良いので、目の前のことに少しこだわって取り組んでみてほしいです。その経験は社会でも活きると思います。例えば、1つのテーマで研究を進めていく卒業研究は良い機会になると思います。研究をしていく中で、上手くいかない場面があるかもしれません。そういう時に、原因を調べたり、誰かに相談したりして前に進んでいけるかがとても大切です。そうして乗り越えた経験が、将来必ず役に立つ日が来ることをお伝えしたいです。

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