未知だったプラントエンジニアリングの世界で、自分の成長を実感しながら着実に歩みを重ねる。
未知だったプラントエンジニアリングの世界で、
自分の成長を実感しながら着実に歩みを重ねる。
このストーリーのポイント
- インターンシップで実感した会社の風土に惹かれて入社を決める
- 未経験のエンジニアリングの仕事を、基礎からじっくりと学ぶ
- 若手に責任ある仕事を任せることで成長を促す風土
プラントエンジニアリング事業も手がけるJNC。担うのはJNCエンジニアリングだ。ここでは、エンジニアリングの知見ゼロの状態から学びながら成長を続ける人材が活躍している。大切なのは好奇心と向上心。成長したいという志さえあれば、不可能はない。
JNCエンジニアリング株式会社
市側 大稀
プロジェクト部 プロジェクトグループ
2019年/工学研究科工学専攻修了
熊本県出身。宮崎の大学で物質化学について学び、大学院では高分子材料の研究に携わる。大学院1年次でのインターンシップを契機にJNCに惹かれ、入社を決める。入社以来、化学プラントのプロセス設計に携わる。
小学生の頃からの“縁”を実感
小学生の社会科見学の授業で足を運んだのが、水俣病資料館。そこで、当社の前身であるチッソの存在を知りました。同時に、水俣病発生から現在に至るまでの歴史や、罹患された方々の様子を知りました。子供時代の私には非常に衝撃的であり、今でも忘れられない光景として目に焼き付いています。ただ、まさか将来自分がそのグループ会社で働くことになろうとは、この時は夢にも思いませんでした。今振り返ると、なんとも言えない不思議な“縁”を感じます。
世の中の役に立つ製品の一部に自分が携わった物質が使われていたら面白そうとの思いから、大学では物質化学を専攻しました。4年生からの学生研究では、無機材料を内包した高分子材料のヒ素の吸着について研究しました。
研究そのものは非常に面白かったのですが、当初はなかなか成果を出せず苦しい思いをしました。研究の成果が何とか形になったのは、大学院に進んでから。3年がかりでした。1つの目標に向かって、投げ出さずに取り組み続けることの大切さを学びました。
研究と同様に打ち込んだのがバンド活動です。私の担当はドラム。学園祭での発表やライブハウスでの演奏など、活発に活動しました。ステージの上で演奏することで自分が人からどんなふうに見られているかを意識するようになり、客観的な視点の大切さを知りました。また他の楽器との調和を考えながら、自分のソロパートではしっかりと目立つように演奏するなど、チームの中の“個”のあり方についても考えることができました。
バンド仲間とは今も交流があり、私1人でスタジオに入ってドラムの練習をすることもあります。
事業の幅広さに、自分の可能性を重ね合わせる
就職活動では専門知識を活かせる分野ということで化学業界を志望しました。その中で出会ったのがJNCでした。きっかけは研究室の前の掲示板に貼り出されていたインターンシップ募集の告知です。何となく面白そうと思って調べてみたところ、なんと小学校の社会科見学で知ったチッソの事業譲渡会社であることが判明。文字通りの再会だったわけです。
インターンシップの期間は2週間でした。そこで感じたのが、JNCの事業の広さです。化学製品の開発・製造にとどまらず、エネルギー・環境分野の事業や発電所など幅広いフィールドがあり、ここなら自分の専門分野にこだわらずに学んでいけると思いました。私はもともと好奇心が強いタイプでしたので、こうした事業の広さには大きな刺激を受けました。
もう一点感じたのが、職場の雰囲気のよさです。風通しがよく、組織や職階の壁を越えたコミュニケーションが活発と感じました。この企業カルチャーならば自分も伸び伸びと働くことができ、自分らしさを表現できると思ったのです。こうしたことから第一志望としてエントリーし、大学推薦を得て内定をいただくことができました。
入社式の直後、配属が発表されました。そこで耳にしたのが、JNCエンジニアリング:エンジニアリング部プロセス設計グループへの配属でした。正直、まったく予想していなかったことでした。プロセス設計に必要な化学工学の知識は大学の授業で少々齧った程度でしたので、前提知識がほとんどない状態での入社でした。とにかく基礎の基礎から学んでいかなくてはならないという思いだけが胸にありました。
新卒入社の新人として約半年間の研修を受けた後、10月よりエンジニアリング部プロセス設計グループとしての本格的な業務がスタートしました。
“わからないことがわかる”という喜び
部署に配属されてプラントエンジニアリングの基礎を研修で一通り学んだ後は、先輩についてOJTで仕事を覚えていきました。実はこれが想像以上に大変だったのです。というのもプラントエンジニアリングについての知識がまったく不足していて、自分で何をすべきがわからないどころか、何を質問していいかすら見当もつかなかったからです。周囲の先輩は「何でも聞いていいよ」と言ってくれるものの、“わからないことがわからない”状態はとても不安で、途方に暮れました。
しかし4年目の今は、あの当時の私がまったく何もわかっていなかったのは当然のことだと理解しています。それほどプラントエンジニアリングの仕事は奥が深く、10年、15年という経験を積んでもわからないことがあるのです。
例えばプロセス設計の基礎となるものに配管計装図(P&ID)というものがあります。最初の頃は「こういう図面があるんだ」という認識だけで思考はストップしていました。しかし経験を積んでいく毎に、小さな記号一つをとっても、図面上に反映されている明確な意図があるということが分かるようになってきました。ただ、この段階ではまだまだ不十分。本年度で入社4年目となりますが、配管計装図が意図している事柄をしっかりと理解し、プロセス設計の全体像がはっきりと見えてくるにはさらに時間がかかるでしょう。
それほど奥が深いのがプラントエンジニアリングの仕事であり、図面一枚を通じても自分の成長を実感できることがやりがいにつながっているのです。
成長のために上司から教わったのが「日々疑問を持ち、あらゆることを“なぜだろう”と考えなければならない」ということです。“なぜだろう”という疑問から、プラントエンジニアとしての成長が始まるのです。
チャレンジを尊重する風土がある
現在私が担当しているのが、あるプラントでのプロセス設計の主担当です。任されることになったのは3年目のことでした。まだ経験が浅い自分に果たして主担当という責任ある仕事が務まるのか、不安で一杯だったことを覚えています。
このプロジェクトでは、当社は顧客であるプラントユーザー側の立場で各種図書の確認などを行っています。これまでの経験で培ったプロセス設計の知識をフル動員しつつ、顧客と同じ目線でプラントエンジニアリングを進めています。
当社には若手にあえて責任ある仕事を任せることで成長を促す風土があります。
入社2年目にもそれを感じた出来事がありました。化学工学分野で著名な大学教授が当社でデータサイエンスについてのプレゼンを行った際、私は興味のある内容についていろいろと質問させてもらいました。その様子を見ていた経営陣が「そんなに興味があるなら自分でやってみたらどうか」と、私がデータサイエンスに取り組むことを後押ししてくれたのです。このように当社には非常にチャレンジングな風土があり、若手に新しいことをどんどん吸収させようというカルチャーがあるのです。
まずは現在のプロジェクトについて、主担当としての責任をしっかり果たしたいと考えています。このプラントが完成したら、きっと大きな達成感が得られるでしょう。それはプラントエンジニアリングならではの醍醐味です。
その後も様々なプロジェクトを経験することになると思いますが、いつかは誰からも頼りにされるような存在になりたいと思います。そうなったとき、目の前には別の景色が広がり、次に目指すべき新しい目標も見えてくることでしょう。プラント事業にとどまらず、環境エネルギー事業にも興味があります。自分の持ち味である好奇心を大切にし、常に新しいことを吸収しながら前に進んでいきたいと考えています。