インクルーシブな世界を創るために。お客様と、デザイナーが力を合わせ、門戸を開く。
インクルーシブな世界を創るために。
お客様と、デザイナーが力を合わせ、門戸を開く。
このストーリーのポイント
- IBMのインターンシップをきっかけに、デザイン学科に転科
- デザイナーとして、未来を描くところから、世に出るところまで一貫して担当
- アクセシビリティーに関わる仕事を通じて、多くの方に新しい選択肢を届ける
インターンシップをきっかけに、キャリアの方向性が変わった
IBMのことを知ったのは、大学2年生の時です。IBMのデザイナーが、デザイン思考を使い、ユーザー視点のサービスデザインを行なっている点に魅力を感じ、インターンシップに応募しました。
デザイナーコースに参加した当時、私は工学部の機械工学科に所属していました。ビジュアルデザイン面では、四角と丸を並べて出すくらいのことしか出来ず、とても悔しい思いをしました。デザインができなかったのです。ですが社員の方が、IBMのデザインは見た目だけではなく、ロジカルな思考に基づくものであるという点から、ポジティブなフィードバックをくださいました。こういう観点が良かった、ユーザーに対する視点はUXデザイナーとして、とても大切なことだ、こういう点に気づいていること、考慮していることがすごく良いとフィードバックをくださったのです。このフィードバックをいただき、私にもデザインができるのかもしれないと胸が躍ったのを覚えています。
インターンシップの最後に、実際にお客様にデザインの提案をさせていただく機会がありました。インターンシップ期間中のトレーニングでデザインを学び、私も提案を用意しました。複数あったデザイン提案の中で、驚くべきことに、最終的に私のデザインがお客様から選ばれたときは、とても嬉しかったです。また、インターンシップ期間中に社員の方々が熱心にサポートしてくれたことにも感激し、デザイナーとして働く達成感を感じました。
IBMでのインターンシップを終えた後、元々所属していた工学部の機械工学科を辞め、デザイン学科に転科しました。やりたかったのはデザイナーだったことに気がついたからです。それまでは、機械系の技師か、デベロッパーになるかで悩んでいたのですが、IBMのインターンシップをきっかけに、キャリアの方向性が変わりました。
IBMのデザイナーは、絵を描くだけではなかった
「どのような会社の未来を描きたいのか」を作るところから、世にアプリとしてリリースする所まで担当したプロジェクトがあります。このプロジェクトは、コンサルタントとデザイナーで、ビジネス視点とユーザー視点の両面から、会社の未来を描くところが始まりでした。この時は、結論としてアプリを作ろうとなり、そこからITスペシャリストの方々が参画し、コンサルタント、ITスペシャリスト、デザイナーの3視点から、どのようなアプリを作るかを検討しました。また、最後の設計フェーズでは、デベロッパーの方々が、インドやフィリピン、ヨーロッパから参画されました。さまざまな職種の方が一緒に作っていくというプロジェクトで、デザイナーとして発案から世に送り出すところまで担当できた、私の中でも特に誇らしいプロジェクトでした。
デザインというと、絵を描く、グラフィックを作るのが、一般的に認知されている仕事かもしれません。そしてデザイナーは、製品を作るところだけポッと入って、作って出ていく、というイメージかもしれません。私も同様の印象を抱いていましたが、経験してきたプロジェクトは、そうではありませんでした。未来を描くところから、世に出るところまで一貫して担当できる。一貫してできるから、作成したものを、自分の手で送り出すことができる。デザイナーとして、品質を担保できる。それがIBMの強みであり、IBMのデザイナーのやりがいなのではないかと思います。
IBMのデザイナーに必要な3つのスキル
IBMのデザイナーに必要なスキルは3つあると思います。
1つはコンサル的な力。論理的に、なぜそのデザインが良いのか考える力です。お客様のほとんどは、デザイナーではない方です。なぜ、このデザインが良いのかを論理的に言語化して説明する必要があります。また、同じチームのコンサルタントやITスペシャリストにも同様に説明する必要があります。開発が難しくても、このデザインである必要性をきちんと言語化して、腹落ちしてもらう力は重要です。
2つ目が好奇心。IBMのデザイナーは、毎回担当する業界が異なります。初めて出会った業界であっても、ペルソナを立て、ユーザーを探求し、共感する力が重要になります。
3つ目が押し進める胆力。同じサービスでも、デザイナーは、コンサルタントやITスペシャリストとは見ている視点が異なります。コンサルタントは、お客様のビジネスに良いかどうか、ITスペシャリストは、設計という観点で見ています。デザイナーは、ユーザーにとって良いのかという視点で見ています。「ビジネスに良くないから止めましょう」「設計が長くなるからやめましょう」という強い声の中で、「ユーザーのためにこうしましょう」とユーザー目線で提案する必要があります。だからこそ踏ん張って、本当に重要な時は、他の職種の方を説得するし、ユーザーのための行動を進める胆力が必要なのだと思います。
私もこれらのスキルは、最初から持っていたわけではありませんでした。デザインに自信がなく、その提案を押し進める胆力がなく、うまく説明ができませんでした。入社してから、一緒に働いている先輩デザイナーのデザインだけでなく、お客様との議論の進め方、他職種とのコミュニケーションの取り方などを真似しながら少しずつできるようになってきたと感じています。上司と相談しながら、少しずつお客様との会議でのファシリテーションも担当させていただけるようになりました。この伝え方で良いのか、リハーサルを重ね、本番に臨んだこともあります。そうすることで、少しずつできるようになってきました。
多様なバックグラウンドと、専門知識を持った方々
IBMのデザイナーのバックグラウンドは多種多様です。日本の美大を出た方、海外から来た方、デザインに関係のない学科の方。人文学系や心理学系の方。ですが、唯一の共通点は、自分はこの分野が得意という筋を持っていることです。
デザイナーの部門では、週に1度、自己紹介をする機会を設けています。例えば、1年目の方が大学で学んでいたことを話した次の週に、長年IBMにいる方が、ご自身の経験や考えを紹介する、みたいな形です。デザインは、特化する方向性が沢山あります。プロダクトのような、形あるものが得意な方もいれば、ソフトスキル、インタビューが得意なデザイナーもいます。似たような技術がある中で、完全に重複する方はいらっしゃらず、みなさん一年目の方からも学ぶことが沢山あるよね、どんなデザイナーからも学ぶことがあるよね、という考えでお互いに尊敬を持って一緒に働いています。
私は、入社してからの4年間、デザインの中でもアクセシビリティーに関わるお仕事を担当してきました。デジタル媒体のアクセシビリティーの向上は、私が元々デザインをやりたかったきっかけでもあります。どのような能力を持った方でも、どのようなサービスでも使えるようにデザインすることが、私の目指す未来です。
今参画しているプロジェクトは、全盲の方もいらっしゃる会社の、社内システムに関わるプロジェクトです。目が見える、見えないに関わらず、社内システムを使い、同じ業務をできるようにしてほしいというご要望をお客様からいただいています。インクルーシブな体験を作ることは、設計の際に意識的にアクセシビリティーを各局面で検討することが必要であるため、決して簡単なことではありません。ですが、今までこの業務はできないと言われていた方に、私が携わり、サービスを作ることにより、体験を提供できる。参加できなかった方々に門戸を開くことができる。多くの方の新しい選択肢が増えていくことに、社会的なやりがいを感じています。
IBMには、多種多様な専門知識を持った方がいます。多角的に物事を見た上で判断できる、責任を持って言える専門家がいます。例えばアクセシビリティーに関しては、研究所に、日本のアクセシビリティーの決まり、ルールブックであるJISに関わっている方がいます。そのような業界のプロフェッショナルにコンタクトし、最先端の情報を色々と教えていただき、また、デザインを見てもらうことができます。デザインをお見せし、大丈夫だと担保してもらうことで、デザイナーとして、安心して品質の高いものをお客様にお届けすることができています。人材の多様性も、IBMの強みの1つです。
インターンシップに参加しようか迷っていたら
インターンシップに参加しようか迷っている方がいたら、全力で、参加することをお勧めします。学生でしか体験できない、企業の中を見ることができる機会です。「興味がなかった」という結論になったとしても、興味がなかったことを学べたことも自分を知るということの、大きな一歩なのではないでしょうか。
IBMのインターンシップは、様々な社員が関わるため、同じIBMの中でも様々な働き方をしている多様なプロフェッショナルに会うことができます。また、私がインターンシップに参加した時もそうでしたが、IBM社員は、チームみんなの仲が良く、年次に関係なく尊敬しあっており、助けてというと、常に誰かしらが手を挙げてくれる面倒見の良さがあります。そういったIBMが持つ、外資系企業と日系企業の両面の良さを感じていただけたらと思います。