真に価値ある人材を目指して、“総合力”こそがデータサイエンティストの道を拓く。

真に価値ある人材を目指して、“総合力”こそがデータサイエンティストの道を拓く。

このストーリーのポイント

  • データサイエンティストの仕事の本質は、お客様の困りごとを解決すること
  • 数理問題を解くだけでなく、課題解決を総合的に推進する力が求められる
  • その力を身につけるための環境がIBMにはある

データやAIによるクライアントの業務変革に取り組む一方、社外でのデータサイエンティストの育成活動など幅広く活躍。ビジネスの最前線で活躍できるデータサイエンティストの条件として“総合力”を挙げる。そうした力をバランスよく身につけられるのが、IBMの魅力だ。

-profile-

服部 翔大

日本アイ・ビー・エム株式会社

IBM Consulting コグニティブ&アナリティクス アドバイザリー・データサイエンティスト
2015年新卒入社/経済学部卒業

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入社以来、主に自動車・機械業界のお客様に対しデータやAIによる課題解決を支援。入社1、2年目社員が所属する組織(Associates)のマネージャー。さらに「データサイエンティスト協会」の委員を務めるほか、私立大学のデータサイエンス学部の立ち上げにあたっての支援など、社外での活動にも積極的に取り組む。

社内外での活動を通して見えてきたデータサイエンティストのあり方

数理問題を解けるだけではデータサイエンティストとして不十分である──。私は「データサイエンティスト協会」での活動を通してそれを再認識しました。
「データサイエンティスト協会」は、データサイエンティストの育成と業界の発展を目的として普及啓蒙活動を行っている組織です。一般会員数が1万人を超える大きな組織で、IBMはその幹事会員の1社です。
2020年より幹事会員が中心となり、データサイエンティストを育てる企画「課題解決型人材コンテスト」を開催。参加者はリアルなお客様に対し、実際のデータを分析し、示唆を出し、アクションを提案します。そしてお客様にとってどれだけ価値ある提案ができるかを競うコンテストです。私も委員の1人として企画運営に携わりました。
ここでの活動を通して実感しているのが、社会から求められるデータサイエンティストの姿です。データサイエンティストと聞くと一般的には数理や統計の専門家、高度なプログラミング人材というイメージがあるようです。しかし本当に必要とされているのはそれだけではありません。現実のビジネスを動かして初めて価値が認められるのではないでしょうか。

今では事業会社にも分析やAIに精通したスキルフルな人材がいます。データサイエンティストを名乗る我々が単に数理的な知識を提供したところで、クライアントにとってそれが価値あるスキルとはなりません。中途半端なデータ分析ならクライアント社内で片付いてしまう。では我々に何が求められているかというと、そもそも分析により何を解決するかを定義するところから、分析結果をビジネスの言葉に変換して現場を動かすところまでを総合的に推進する力です。
IBMは上流から下流までのEnd-to-Endのプロジェクトを多数手がけており、IBMでデータサイエンティストになると、あらゆるフェーズに関わることになります。その経験を通して課題解決に必要な総合力を身につけることが可能です。

IBMコンサルティング事業本部には入社1、2年目の社員を対象とした育成組織があり、新卒の新入社員はすべてここに配属され、いわば下積みの期間を過ごすことになります。
最近私はこの組織のマネージャーとなり、数人の若手社員のマネジメントと育成を担当しています。新人のデータサイエンティストに話を聞くと、「統計や機械学習に精通し、卓越したプログラミングスキルを持っていることが優秀なデータサイエンティストの条件である」という答えが返ってきます。そして自分にはそのようなスキルが足りないので不安だ、と考えている人が多くいます。私はそうした社員に対して「テクニカルなスキルは確かに重要だが、データサイエンティストに必要な能力は非常に幅広いので、自分なりの強みを見つければ必ず活躍できる」と伝えるようにしています。

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様々なプロジェクトがあるから、バランスよく育つことができる

私のこれまでの経歴を簡単に紹介します。経済学部卒の私はコンサルタント職としてIBMに入社しました。その理由は「コンサルタントって何となくかっこよさそうだから」という軽い動機からでした。そこからデータサイエンティストを志すことになったのは、入社して最初にアサインされたプロジェクトがきっかけでした。

お客様は某大手自動車メーカーで、車の設計に用いるコンピュータの使用状況を可視化し、計算リソースの割り振りを最適化することが目的のプロジェクトでした。私は統計解析ソフトを使ってデータの加工やグラフの作成を担当しました。私は一番経験が浅いメンバーでしたので、お客様からの期待はさほどではなかったかもしれません。ところがある時、自分が作成したデータの加工プログラムを見せるとお客様が大変評価をしてくださったのです。私はその経験から、高度な技術的専門性を身につけることが他者から認められる近道だと分かり、分析の技術を磨くためにデータサイエンティストを目指すことにしたのです。

しかしその後アサインされた仕事は、システム開発の案件やプロジェクトの事務局、新人研修の講師など、分析とは関係ないものも多くありました。プロジェクトアサインはタイミングで決まりますから、自分の希望通りの案件に常に入れるわけではないのです。中には機械の故障を予測するデータ解析などの分析案件もありましたが、自分の中では遠回りしているという感覚が強かったことをよく覚えています。

大学では計量経済学を学んでいたので数字や数学に対する抵抗感こそなかったものの、基本的には文系の出身ですから、このままでは数理や統計学に秀でた同期や同僚に置き去りにされるのではという焦りが生まれてきたのも自然なことでした。
そこで上司に相談したところ、「バランスよく経験を積むことができているので、全く焦ることはない」とのアドバイスをもらったのです。今になって感じるのは、この言葉は真実だったということです。

もし新人の頃からがむしゃらに分析スキルばかりを磨いていたら、今よりも視野の狭い人材になっていたと思います。様々な案件に幅広く参画したことで、私は論理的な思考力やコミュニケーション力、お客様業界に関する知識など、課題解決を総合的にリードするのに必要な力を磨くことができたのです。
私は今でも、面白そうな取り組みは何でもやってみるようにしています。近年注目されている「フェデレーテッドラーニング(連合学習)」とう技術の推進チームを担当したり、関西の私立大学でのデータサイエンス学部の立ち上げにあたって、その宣伝や授業の企画を支援させていただいたりしており、それもまた自身の視野を広げる一つの要因となっています。

私は新卒採用の面接員も担当していますが、その際コミュニケーション力や論理的な思考力、自分の考えを主張する力などをバランスよく備えているかどうかを重視するのもこうした経験によるものです。総合力、もっといえば人間力こそ、データサイエンティストにとって最も重要な資質なのです。

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1人で100人分の仕事ができる人材に

データサイエンティストとしてIBMに入社をしたら、アサインされたプロジェクトでその一歩を踏み出すことになります。データ加工や予測モデルの作成など、かつての私がそうだったようにまずは技術的なスキルを磨いていくのが一般的です。
その後はより上流の工程に関わり、お客様にプロジェクトの提案を行う機会もあります。テクニカルスキルの上にビジネススキルを積み上げ、バランスの取れた総合力を身につけていくとよいでしょう。時には不本意な案件もあるかもしれませんが、その経験は後々必ず活きてくるので、いかにポジティブな姿勢で臨むかが大事です。

データサイエンティストというと理系の男性ばかりというイメージを持たれるかもしれませんが、IBMでは文系出身の方や女性も多数活躍しています。
データサイエンティストはお客様やユーザーの立場に立って困りごとを見つけ出し、課題を解決していくことが本質的な役目です。学生時代のバックグランドや性別に関係なく、そうした姿勢を大切にできる方にはぜひチャレンジしていただきたい仕事です。

今後私自身は、まずは今のマネージャーとしての業務で成果をあげていくことを目指したいと考えています。また前述のような課外活動や社外での活動にも、楽しみながら貢献していきたいと思います。IBMにはこうした本業以外の活動も後押しする文化があります。
その後の長期的なビジョンについて、かつて私は上司に「1人で100人分の仕事ができるようになれ」と言われたことがあります。それだけの大きな影響を世の中に与えるようになれという意味です。そしてその方法には、経営者になって何万人もの人を動かす、革新的な技術を作りあげる、世界に通用する人材を育てる、の3通りがあると教えられました。どれも今の私にとっては遠い目標ですが、常にこのビジョンを頭に置きながら日々の仕事に取り組みたいと思います。

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