「本当に好きなこと」だから、異業種からの転職にためらいはなかった。
「本当に好きなこと」だから、
異業種からの転職にためらいはなかった。
このストーリーのポイント
- 新卒で入社した大手メーカーを2年目に退職し、異業種の阪急阪神百貨店へ
- 大好きだったファッションの仕事に携わる
- 中途入社でもハンデはまったくなく、チャレンジの機会は公平
メーカーに入社するも、本当に好きなことに携わりたいと考えて1年ちょっとで退職。異業種の阪急阪神百貨店に入社する。販売員としてお客様と接することに、自分の望んでいた仕事に携われる喜びを実感している。
株式会社阪急阪神百貨店
Takahiro
西宮阪急 婦人ファッション営業部
兵庫県出身。法学部卒。2020年に大手メーカーに入社し、法人営業に携わる。2022年4月、当社に第二新卒として入社。西宮阪急の配属となり、婦人服売場で接客に従事するとともに、バイヤー業務も担当する。
社会人になって自己分析をやり直す
高校時代はラグビーに打ち込み、大学時代はラグビーブランドのお店でアルバイトをしていました。就職活動の“軸”もラグビーで、ラグビーチームのある会社に入りたいと考え、選んだのが関西の大手メーカーでした。
今思えば「自分の強みを活かせるか」「自分が成長できる環境があるか」といった視点に欠けた就職活動でした。
メーカーに入社後、北陸地方の営業所に配属され、法人営業を担当しました。人と接するのは得意だったので営業職そのものは好きでしたが、扱っている商材にはあまり関心が持てませんでした。そんな中でも自分なりに営業方法を工夫して常に取引先様の求めるニーズに対して120%の応対を心がけて活動を行っておりました。
ある時に仕事に対する価値観を改めて考えたときに、「もっと自分自身がワクワクしながら働きたい」「“好き”を注げる仕事に従事したい」と考えるようになり、気づいた時には「転職」という二文字が頭の中に浮かび始めていました。
転職を考え始めた私は、自己分析をやり直し、本当は何をしたいのかを見極め、自分の強みを明確にしようとしました。つまり新卒時の就職活動を、改めて本気でやり直したわけです。その結果、大好きなファッションに触れながら、得意なコミュニケーションスキルも活かせるということで、アパレル関連の仕事を探そうと思いました。同時に関連する企業の採用サイトを徹底的にリサーチ。転職エージェントには頼らず、本当に自分に合う企業を自分の目で見つけようと考えました。
その結果、出会ったのが阪急阪神百貨店。学生時代、阪急うめだ本店のコンコースのショーウィンドウを見て、季節のディスプレイなどを楽しんでいたことを思い出した私は、ここが自分の本当に求めていた場所だと気づき、エントリーすることにしたのです。幸いキャリア人材を広く募っていたこともあり、入社が決定。ほぼ同時にメーカーは退職し、地元に戻って阪急阪神百貨店で働くことになりました。
新卒社員と同じタイミングで入社
石の上にも3年という言葉があるように、すぐに転職することを由としない考え方があります。確かに社会人経験が浅いのに転職しても通用しないという見方もあるでしょう。一方で好きではない仕事を3年間我慢して続けたところで、何も身につかないのではという思いがありました。
リスタートするなら、早い方がいいと思います。私は、すぐに転職を決断して正解でした。
入社後の研修も新卒入社の同期と同じでした。最初の1ヵ月は座学で基本的なビジネススキルを習得。当社のさまざまな部署の社員の方が業務の説明をしてくれたことは、会社全体を知る上で非常に勉強になりました。
その後は阪急うめだ本店での催事売場での販売研修、6月にはお中元ギフトの研修があり、1ヵ月間にわたってお中元ギフトの受け付け業務に従事しました。お中元ギフト会場には幅広い層のお客様がお見えになるので、接客スキルを磨くという点でとても効果的だったと思います。こうした一連の研修制度は大変充実しており、私のようにまったくの異業種からの転職であっても、無理なく学ぶことができました。
その後、現在の職場である西宮阪急の婦人ファッション営業部に配属となりました。
好きな仕事だから、自分を磨くことが喜び
配属された西宮阪急は、とりわけファッションコンシャスなレベルの高いお客様ばかりです。皆様、トレンドにもすごく敏感で、売場に立っていても常に刺激を受けますし、言い方を変えればお買い物慣れしている手ごわいお客様ばかりです。それだけに適切な情報提供やアドバイスをしてくれる販売員とわかると、お客様もとことん支持してくださり、売場が変わっても一緒についてきてくださることが珍しくありません。
女性のお客様の中には、男性ではなく女性に接客されたいと希望される方がいらっしゃいます。あるお客様もそうでした。ところがたまたま女性スタッフの手が空いてなくて、私しか接客できないタイミングだったことがありました。私は自分が女性服を着ることができないからこそ、男性目線ならではの提案を心がけており、そのときもお客様には私の考えるコーディネートを提案させていただきました。
するとそのお客様は、今まで選んだことのない合わせ方ができ、とても新鮮だったと喜んでくださったのです。それ以来、私が売場に立つ日時をご確認の上で来店され、私にコーディネートを任せて頂けるようになりました。
男性であることをハンデにせず、逆に強みにとらえて自分なりの提案をしたことが、お客様の信頼につながったわけです。非常に嬉しい出来事で、こういう仕事を本当にやりたかったんだと改めて実感しました。
レディースの服を着ることはできないものの、情報収集は怠りません。ファッション雑誌にはくまなく目を通してブランドの動向をチェックし、SNSを通じて雑誌には未紹介の新しいブランドを見つけることもあります。サイズ感については自分では実感できないので、女性スタッフに着てもらって感覚を教わっています。こうしたことがまったく苦にならないのは、自分の好きなことだから。好きなことを仕事にする幸せを味わっています。
ただ、この仕事は大変奥が深く、私自身まだまだ至らぬ点ばかりですが、この売場での経験が深い上司の方が優しく、時には厳しく指導してくださるので、本当に日々感謝しております。
入社して2年間、売場でしっかりお客様の声に耳を傾けるのはもちろん、先輩の方々に、各ブランドや商品や素材に関しても、じっくりと教えて頂けた事で、現在の自分があります。こうした私の行動を上司の方々が見て、評価してくださり、現在の仕事を担当させて頂いていると思います。
阪急阪神百貨店では、優れた接客スキルの販売員は「金ネーム」と認定されます。「金ネーム」の販売員は阪急阪神百貨店の全販売員の約4%。まさに勲章です。幸いにも私はこの「金ネーム」を入社2年目に取得しました。本当に誇らしいことであり、年齢やキャリアに関係なく、公平に評価してくれる当社の社風に感謝しています。
「金ネーム」販売員には、文字通り金色のネームや名刺が与えられます。お客様の目に留まることも多く「金ネーム」にふさわしい接客をしなければというモチベーションにつながります。
3年目の今、バイイングも担当しています。販売員も引き続き担当していますので、展示会に行ってブランドと交渉し、オーダーして、売場に落とし込むという一連の業務に携わっているわけです。担当しているのは約30ブランド。売場でキャッチしたニーズをもとに、自分で仕入れた商品を自分で売るというのは、百貨店の仕事の醍醐味だと感じています。
入社して2年間、売場でしっかりお客様の声に耳を傾け、同時にブランドの特徴もしっかりと把握してきたことが役立っていると自負しています。こうした積み重ねを会社もしっかり見ていただき、評価してくれたのでしょう。力があれば年齢やキャリア、前職等に関係なく責任ある仕事を任せてもらえるのは間違いありません。
自分が自信を持って選んだ商品を、お客様が手に取り、「セレクトがいいね」とおっしゃってくださる瞬間は、最高に嬉しいです。
自分にとってベストの会社を見つけてほしい
一緒に働いているメンバーは素晴らしい人ばかり。百貨店の売場に立っているだけに皆さん優れたコミュニケーションスキルをお持ちで、日頃のコミュニケーションは非常にスムーズです。人間関係で違和感を抱いたことはありません。
残業が少ないのも、嬉しい点です。いかに効率よく仕事をするかということに重点が置かれており、本当に働きやすい職場です。
次の目標は、阪急うめだ本店のモードフロアのディレクションを担当することです。ファッションやトレンドの変化は激しく、お客様に楽しんでいただけるフロアづくりはやりがいのある仕事だと思います。
今は雑誌やSNS等で知識を吸収することに努めていますが、今後はスキルアップしてその知識を活かして新たなコンテンツの開発につなげていくなど、アウトプットの力を磨きたいと考えています。その先に、モードフロアのディレクションに挑戦できる可能性が広がっているでしょう。
新卒で入社したメーカーは、いい会社でした。知名度も高いですし、社会的な信頼度も抜群です。ですから私が退職したときは、あんなにいい会社を辞めるなんて、という声もありました。
ただ、いい会社が自分にとってベストな会社であるとは限らないですし、入社してみないとわからないことがあるのも事実です。もし何らかの違和感があり、「仕事が楽しくない」と感じるようなら、自分が本当にやりたいことは何なのか、改めて見つめ直してもいいのではないでしょうか。
自分の人生です。チャレンジするかどうかは、自分次第です。