先駆者として道を開く醍醐味。海外のお客さまを、我々のファンに。
先駆者として道を開く醍醐味。
海外のお客さまを、我々のファンに。
このストーリーのポイント
- 自分たちで考え、行動し、カタチにしていくカルチャーがある
- 先駆的なインバウンド対応により、業界内で圧倒的な立場を築く
- 攻めと守りのバランスで、海外顧客対応をさらに進めていく
海外からのお客様の取り込みに力を入れる阪急阪神百貨店。先駆者として、今では阪急うめだ本店は業界トップの免税売上を誇る。世界中で阪急阪神百貨店のファンを育てていくため、さらにチャレンジを続ける。
株式会社阪急阪神百貨店
Yasuyuki
海外顧客事業部
大阪出身。商学部卒。2001年入社。主に販売促進関連の業務に携わった後、インバウンド需要の対応に取り組む。現在は海外顧客事業部を統括する。
Yukari
海外顧客事業部
大阪出身。長く婦人服を担当した後、現在は海外顧客事業部海外顧客パーソナルコミュニケーションサービス部に所属。
Xue
海外顧客事業部
中国出身。学校教育研究科修了。高校卒業後に来日。マーケティング関連業務を中心に担当した後、現在は海外顧客ビジネス企画推進部に所属。
入社の決め手は、ここで働く「人」の魅力
──皆さんが阪急阪神百貨店を選んだ理由を教えてください。
Yasuyuki 私は東京の大学に進学したのですが、就職は地元の大阪に本社を置く企業でというのが親との約束でした。就職活動はすべて関西でしたから、東京からの移動が大変だったことが記憶に残っています。最終的に内定をいただいたのは4社。金融や運輸、ゼネコン、小売と業界はバラバラでした。当時は就職氷河期だったので、自分を受け入れてくれるならどんな業種でも、と思っていたんです。そんな中で当社を選んだのは「人」の魅力に尽きます。面接等で接した社員の方々の人柄が素晴らしく、自分に合いそうだと思ったことが決め手になりました。
Yukari 確かに「人」の魅力は大きかったですね。私も先輩方に接して、百貨店というキラキラした世界は、こうした魅力的な方々が努力を重ねながら支えてきたんだと実感しました。
Xue 私も採用担当の方の存在が決め手になりました。面接の前に、採用担当の方がとても丁寧にアドバイスを送ってくれたんです。私は外国人ですから日本の就職活動の勝手がよくわからず、戸惑うことも多かったので、こうした心づかいはとても嬉しかったです。
Yasuyuki もっとも私は、消費者としては阪急百貨店(当時)を利用したことがなかったんです。
Yukari そうでしたか。
Yasuyuki 南大阪の方に住んでいたので、利用していたのは他の百貨店でした。阪急百貨店は高級で敷居が高いというイメージでしたね。だから就活では緊張しましたが、変に背伸びをしてもいけないと思い、本来の自分らしさを大切にしようと考えて面接に臨んだのを覚えています。
Yukari 私は北大阪でしたから、Yasuyukiさんとは逆に阪急うめだ本店をよく利用していました。阪急電車を降りて阪急うめだ本店に向かうとコンコースと呼ばれる入口が見え、モザイクのタイル画が目に入ってくるんです。あのときのワクワクした気持ちは鮮明に覚えています。すごくキラキラして、いい匂いがして、好きな洋服を買ってもらえる場所と思っていました。大好きだったんです。
Xue 私は学生時代の4年間、梅田でアルバイトをしていたので、阪急うめだ本店のことはずっと見ていました。学生にとっては敷居の高いお店ではありましたが、中国に帰省する際には両親へのお土産をここで買いました。母はとても喜んでくれました。
年齢や経験に関係なく挑戦できる
──入社以来、印象に残っているエピソードは何でしょうか。
Yasuyuki 一番当社らしいと感じたのは、何でも自分たちでやろうとする姿勢ですね。私は阪急うめだ本店の販売促進に長く携わってきたのですが、広告代理店に丸投げということは一切ありませんでした。例えば、海外フェアは、担当者自ら海外へ行って新しいブランドを見つけてきて阪急うめだ本店で日本初お披露目というときも、全部自分たちでやってしまう。それこそブースの概要図面、媒体プランまで自分たちで書きます。自分たちで考え、自分たちでカタチにしていくところは、当社ならではのカルチャーだと感じます。
Yukari それだけ達成感は大きいですね。
Yasuyuki 自分の名前でブログを書いていたこともあるんですが、名札を見たお客様から「いつも楽しみにしています」と声をかけられると嬉しかったです。人任せにせず、自分で発信したものはやっぱりお客様にちゃんと届くんだと思いました。このスタンスはデジタル時代も変わりません。
Xue デジタルということでは、会社がいろんなものをデジタル化しようとしていたときに私が担当したのが、中国オンライン決済サービスのWeChatPayの導入でした。WeChatPayとは何かというマニュアル作りから始まり、現場での販売員の皆さんへの操作説明まで、一通り担当させていただき、大きな達成感が得られました。私は文系の出身ですし、デジタルに詳しいわけではなかったのですが、ロジカルな思考が得意だったこともあって任せてもらえたのだと思います。やる気があれば年齢や経験に関係なく新しいことに挑戦させてくれる文化は素晴らしいです。
Yukari 私は2人と違って、長く店頭で婦人服の販売に携わってきました。関西ならではの人情の厚さはあると思いますが、とにかくお客様に育てていただいたという思いが強いです。地域密着型の千里阪急では、食品を買ったついでに毎日のように立ち寄って声をかけてくださるお客様がいたり、阪急うめだ本店では売場が変わっても私の顔を見るために立ち寄ってくれるお客様がいたり。「勉強のために一度見てきたら」と画廊を紹介してくださったお客様もいらっしゃいました。人も店舗も、そのようなお客様に支えられ、育てられているのは間違いありません。
次のテーマは海外リピーターの育成
──海外顧客事業部の取り組みについてご紹介ください。
Yasuyuki 名前の通り、海外の顧客、つまりインバウンドのお客様に的を絞って、さまざまな施策を打ち出していくことがミッションです。中でも富裕層のお客様に重点を置いています。
Yukari 百貨店業界の中では先駆的な取り組みですね。
Yasuyuki そうですね。準備段階としてインバウンドマーケティング部という部署が設立されたのが2018年でした。先ほどXueさんがWeChatPayのお話をされましたが、それも同じタイミングだったと思います。阪急うめだ本店で実施していたインバウンド受け入れ態勢を、博多や東京といった店舗でも整え、これからインバウンド施策を実践しようとしたタイミングでコロナ禍に見舞われます。他の百貨店はこのタイミングでインバウンド関連部署が解散してしまったようですが、当社はポストコロナを見据えて絶対にインバウンド需要が回復すると考え、準備を進めました。そうした姿勢が現在の先駆的なポジションにつながったと思います。
Xue 売上でもトップですね。
Yasuyuki 免税売上では阪急うめだ本店が圧倒的な業界1位です。2位以下を大きく引き離していますね。現在はインバウンドの中でも富裕層のお客様に絞って力を入れています。
Yukari 私は海外顧客パーソナルコミュニケーションサービス部に所属し、来日された富裕層のお客様に対して外商のようにアテンドするというサービスを提供しています。そのため中国語、英語はもちろんのこと、今後はタイ語のできるスタッフもそろえ、「せっかく買い物に来たのに言葉が通じない」というストレスを感じることなく、お客様にお買い物を楽しんでいただけるように配慮しています。
Yasuyuki ビジネスには「攻め」と「守り」のバランスが大切で、Yukariさんが「守り」を担当してるのに対し、Xueさんは「攻め」を担当しています。
Xue 「攻め」とは、海外の新規のお客様の開拓です。実際は海外の最新情報を得るために展示会に参加したり、海外の富裕層を日本の地方に送客するツアーを企画したり、広範囲な業務を担当していて、何でもやる部署です。
Yukari どんなボールでも拾ってくれるのがXueさん。頼りになります。
Yasuyuki 象徴的な取り組みとしては、海外顧客VIPクラブという会員組織があります。普通に考えたら海外のお客様は頻繁に来店されるわけではないから会員組織にはなじまないと思われがちです。しかし我々は、マーケティングデータを取る上でも会員組織は重要と考えて2016年に仕組みを作り運営しています。会員数は現在3万人弱で、今も毎月2000人ほど新規会員が増えています。サービスにご満足いただいた富裕層のお客様は帰国されると同じ富裕層のお客様に当社を紹介してくださるので、会員はどんどん増えていくわけです。現在はYukariさんが中心となってリピーターを増やしていく企画に取り組んでいます。
Yukari 以前は「このお店が好きだからここで買い物をしたい」というお客様ばかりでしたが、海外の富裕層は「大阪で買い物をしたいが、阪急阪神百貨店なんて知らない」という方ばかりです。その点は大きな戸惑いでした。そこで考えたのが、阪急阪神百貨店ならではのキラキラした思い出を一緒に持ち帰っていただきたいということでした。そのために初来店から次回の来店までの間に、いかにして海外のお客様に阪急阪神百貨店ファンになっていただこうかと考えて取り組んでいます。その点では日本と海外の文化や習慣の違いに配慮することが重要です。
Xue 例えば日本には福袋がありますよね。当初、この福袋を海外のお客様に販売しようと考えたのですが、何が入っているかわからないものは買わないという反応でした。しかし最近では、中国でも「中身の見えない袋だからかえって楽しい」と感じる若者が増えています。私は中国人としてのアドバンテージを活かして、そうした市場の変化や情報を社内に発信しています。
Yasuyuki 海外顧客の対応では我々自身の意識改革が必要ですが、どうしても中間管理職は苦手なようですね。その点、若手は柔軟に対応してくれているので、やはり若い世代に推進力になってもらいたいと考えています。さらには百貨店業界全体として変化していかなくてはならないと考えており、我々がその先陣を切っていく覚悟です。
常に前向きにチャレンジできる方
──どんな人材と一緒に働きたいですか。
Xue 前向きで、既成概念にとらわれずに常に新しいことに挑戦したい方と働きたいと思います。今までと違うからできないんじゃなくて、違うからこそ楽しいと感じてほしいですね。これは日本人、外国人で違いはありません。個人的にはぜひ中国の方と一緒に仕事がしたいと思っています。中国は国が広く、多民族国家ですので、多様な文化、価値観を受け入れるのが得意でしょう。期待しています。
Yukari 目配り、気配り、心配りのできる方がいいですね。日本のお客様、海外のお客様という違いに関係なく、お客様のご要望を正しく読み取りながら、ブランドにもちゃんと気遣いのできる方に期待しています。お客様の気持ちが読み取れるなら、語学力はあまり関係ありません。私たちも翻訳アプリを使っていますし、語学に関しての心配は要らないと思います。
Yasuyuki 海外に関連する仕事には、我々が今まで経験してこなかった壁がたくさんあります。臆していたら前に進めないので、常にチャレンジ精神で取り組める方がいいですね。新しいことを始めようとするとき、ルールそのものも一緒に変えてしまうほどのパワーを持った方に期待しています。