入社から5年で支配人に。私を信頼してくださるその気持ちに恩返しがしたい
入社から5年で支配人に。
私を信頼してくださるその気持ちに恩返しがしたい
このストーリーのポイント
- 学生時代のホテルでのアルバイトで「最高に楽しい働き方だ」と衝撃が走る
- 大きなホテルを自分達が創りあげていっているという達成感がたまらない、と夢中になる中で若くして支配人に抜擢される
- 失敗から得た教訓。お客様からいただいた「君は信頼できる」という言葉に応え続けていきたい
恥ずかしがり屋で緊張しがちな私を見て、「どんな場所に行ってもすぐに打ち解けられるように」と、両親は幼いころから色々な習い事をさせてくれた。学生時代に「大学から近いから。」という理由で始めたホテルでのアルバイトがその後の自分の人生を形作っていくことになる。現在は、ルグラン旧軽井沢の支配人として、頼れるスタッフと共に日々、お客様への恩返しのため邁進している。
株式会社グランベルホテル
岡本 和明
ルグラン旧軽井沢
熊本県に生まれ、幼少期に親の仕事の影響で様々な土地を転々としてながら育ってきた。大学時代に偶然経験したホテルのアルバイトがきっかけでホテリエになることを決意。会社の将来性や自分自身が最も成長出来そうな働き方に共感し、グランベルホテルに入社する。現在は、副支配人として沢山の方に支えられながら業務に邁進している。
留学経験から、多様な文化が集うホテル業界を中心に就職活動
自衛官だった父親の仕事の影響で転勤をする機会が多く幼少期から様々な地域で育ってきました。生まれは熊本県、その後は広島、東京で生活をしてきました。恥ずかしがり屋で緊張しがちな私を見て、「どんな場所に行ってもすぐに打ち解けられるように。」という両親の考えもあり、複数の習い事に通わせてもらっていました。
特に力を入れて取り組んでいたのが、水泳とサッカー。同じスポーツでも、圧倒的に対照的な取り組み方だったのを覚えています。水泳は完全な自分との闘い。いかに目標タイムを切れるかをコーチなどから叱咤激励を受けながら取り組んでいました。逆にサッカーはチームプレイで役割分担をして、皆で一緒になって目標達成(勝つ)に向けて切磋琢磨してきました。チームメンバーと汗を流しながら同じ方向を向いて努力することの大切さとその面白さを知りました。
将来の夢など明確にやりたいと思っていたことはなく、ただ父親の影響もあり将来は自衛官や警察官、消防士などの仕事をするのかなとボンヤリ考えて勉強だけはしていました。
そんな中、私の人生のターニングポイントとなったのが、大学時代のアルバイト経験でした。「大学から近いから。」という理由で始めたホテルでのアルバイトでした。大変な中にもやりがいを持って働くことが出来て、めり込んでいきました。私はベルボーイとして、お客様のお迎えや荷物を運んだりする仕事をメインで担当していたのですが、その他にも様々なメンバーが任された役割を全うしながらホテル運営をしていました。大変な中でも、みんなで協力をしてお客様にサービスをご提供していく、最高に楽しい働き方だなと感じました。
ちょうど、留学経験などもあり、異文化との交流を面白く感じていました。ホテルには、国内・海外から様々な価値観を持ったお客様がいらっしゃるので、異文化に触れられる点ものめり込んだ要因の一つでした。様々な方が任された役割を全うして同じ目標に向かって切磋琢磨する働き方、多様な文化の方が集う職場で自分自身コミュニケーションを図って人間力を高められる環境で働きていきたい。そのような考えから、就職活動ではホテル業界を中心に考えていました。
その中でもグランベルホテルは、当時は拠点数も少なかったのですが、今後の国内・海外での拠点拡大の展望、会社として大切にしている理念価値観などを聞いていく中で、一緒に成長していけそうな環境だなとワクワク感を強く感じたところから入社を決意しました。
入社後は1週間程度の座学研修の後、約半年の実務研修を経て、当時新規オープンを迎える予定だった新宿グランベルホテル(※関連会社運営)のオープニングスタッフとして配属されました。実は、当時の支配人も初めての支配人抜擢者でした。そして、それ以外のスタッフは私たち若手社員を中心とした組織だったのです。普通だったらその環境を不安に感じる方が多いと思いますが、むしろ私は、その環境を楽しみながら働いていたことを今でも覚えています。
何が楽しかったかというと、新しいピカピカの大きなホテルを自分達が創りあげていっているという感覚が物凄くありました。なので、想像以上に大変でしたが、非常に充実していました。例えば、毎日必死で業務をおこないつつ、業務終了後には、若手メンバーを中心にしながら振り返りをおこなっていました。「より良いホテルにするためには何が必要か」「何ができるか」を徹底的に議論して、それらを次の日の営業からは実践してみる、そんなことを繰り返していました。一人ひとりが持っている価値観は違うと思いますが、「このホテルをより良くしたい。」という同じ方向性に向かって、本気で議論していける環境に大きなやりがいを感じていましたし、自分もホテルを創り上げている一員であると強く感じることが出来ました。それと共にオープン後ホテルの売り上げもどんどん上がっていき、努力した分だけ成果や売上に繋がることの嬉しさも体感出来たので、達成感をもって業務に取り組んでいました。
入社から5年目で、支配人に抜擢。一人で背負わず、チームで助け合う。
4年目になった際、本部に異動をして人事部にて新卒採用の仕事を担当しました。一つのホテルの現場でお客様と関わることに注力して働いてきた私にとって、本部にてグランベルホテルの採用業務をする経験はホテル運営の全体感を理解する意味でも重要な経験だったと感じています。グランベルホテルという会社の位置づけ、今後の出展計画などの方向性、他ホテルとの明確な差別化や強みなど整理する良い機会となりました。
改めてグランベルホテルの会社としての面白み、ワクワクを感じつつ、現場の仕事にそろそろ戻っていきたいな、と思っていた矢先に新しい現場への着任が決まりました。入社5年目、関連会社運営の赤坂のホテルの支配人として抜擢されての着任でした。
支配人として抜擢された当初は、責任者としてホテルを統括していくんだ!引っ張っていくんだ!という強い使命感ばかりが先行してしまい、楽しいと感じる以上に全てのことに責任とプレッシャーを感じていました。
ホテルの売上をつくっていくのはもちろんのこと、お客様対応の品質向上、働くスタッフのモチベーション管理、お客様対応(責任者対応)など、あらゆる面を自分がやらねばならないと躍起になっていました。まだ、一人で背負いきれるほどの能力もスキルもなかったために、無理をして頑張って空回りしてしまっている印象をメンバーには与えてしまっていたかもしれません。あるタイミングで働き方について振返った際に、皆で一丸となって、意見を出し合いながら切磋琢磨していく働き方にやりがいを感じていた自分自身が、支配人になってその環境をつくりだせていない事に気づき、反省する機会がありました。
職場の雰囲気は、皆でつくっていくものではあるものの、統括する支配人の影響は大きいものであるというのを改めて思い知りました。その意味では、私の最初の配属先であった新宿グランベルホテル時代の支配人は、環境づくりや働く環境の整備が物凄く上手だったんだなと思い知りましたね。そこからは、一人で背負いきるのではなく、今まで以上にメンバーを信じて任せてみる、意見をとことん出してもらう、役割を与え、やらせてみて褒めたりアドバイスしたりと本気で向き合っていきました。すると働くメンバーの表情が晴れやかになり、積極性が出てきて、一人一人の能力やスキルがうまく融合した一つのチームとして組織が機能するようになってきたのです。支配人になって2年目くらいからは、やっとそのような気持ちでホテル運営者として、仕事に責任とプレッシャーも感じつつも、楽しめる状態までもっていくことが出来ました。
支配人としての経験を積んでいく中で、良い意味で自信も出てきた頃、また新しいチャレンジの異動が決まりました。グランベルホテル内のリゾートホテルである、ルグラン軽井沢ホテル&リゾートへの着任です。当社グランベルホテルは、シティホテル、リゾートホテル、旅館と異なる業態の宿泊施設を保有しています。私が今まで経験してきたのは、シティホテルだったのですが、異動したルグラン軽井沢ホテル&リゾートは、1泊1人10万円以上することもある、いわゆる高級ホテルで、よりお客様との関係性や関わり方が深く求められ接客接遇のレベルも非常に高いレベルを求められるような環境です。
シティホテルのお客様は、出張や旅の途中の宿としてご利用されるケースが多かったのですが、リゾートホテルでは、ホテルでの滞在自体を目的としてお越しになるお客様が多くいらっしゃいます。いかに滞在中のサービスレベルにご満足いただけるか、ご納得いただけるような接客が出来るかが、その後のリピーターになってくださるかのポイントになります。例えば、私が必ずやっていることとして、ルグラン軽井沢ホテル&リゾートのお客様は、企業の社長や著名人の方が多くいらっしゃるため、来ていただくお客様情報をご予約のタイミングで事前に調べておき、どのような方なのか事前把握をしたうえで、お間違いがないようにご挨拶をします。細かいことですが、抜け漏れなくお客様の対応が出来るかの積み重ねが集合体になって、滞在中の満足度がつくられます。
印象的だったエピソードがあります。私自身の失敗談なのですが、お客様の荷物をチェックインの際にカートを活用して運んでいた時です。私が運転するカートからお客様の大切なキャリーケースを落として傷つけてしまったことがありました。もちろんキャリーケースも高価なブランドのものだったのですが、それ以上に大切にされているものを傷つけてしまったことに対して、大変申し訳ない気持ちでした。
お客様も、「大切にしているキャリーケースだったのに、どうしよう。」と心配な表情をされていました。その際に、私がとった行動は「必ず元の状態でお客様にお戻しします。」とその場ですぐに誠心誠意、謝罪とお約束をしたのです。通常ですと、上司に確認を取って出来るか・出来ないかを考えて行動するとは思うのですが、目の前の悲しんでいるお客様を前にして、何が最善なのかを考えて対応をしていました。
新型コロナの蔓延の状況の中で海外での修理等も受け付けていなかったのですが、幸いにして、協力してくれる取引先を見つけることが出来て、綺麗になったキャリーケースをお客様にお戻しすることが出来ました。結果として、その時の対応をしたお客様は、そのスピード感のある対応とお詫びの姿勢をみて、「このホテルの対応は信頼できる。君は信頼できる。気に入った。これからも行くから引き続き宜しく。」と言ってくださいました。
実際に、今でもリピーターとして毎週ホテルをご利用いただいているVIPのお客様となりました。今では私のことを下の名前で気軽に呼んでくださる、会社にとっても私にとっても大切なお客様となりました。
いつも支えてくださるお客様に恩返しがしたい。
現在は、軽井沢にあるルグラン旧軽井沢にて副支配人として、引き続き、支配人業務を任されております。キャリアを重ねていく中で強く感じていることとして、グランベルホテルは、沢山のステークホルダーに支えられている会社だなと実感しています。ホテルに来てくださるお客様、働く従業員スタッフ、地域住民の方、お取引先様など、沢山の方達と関係性を築きながら成り立っています。お互いが相互関係を円満に築きながら、これからも世の中に貢献していけるよう、グランベルホテルの価値を上げられるように取り組んでいきます。また私も入社して10年目となりましたが、プライベートでの変化もありました。結婚をして、子供にも恵まれ、妻と子を養う身になりました。子育ても正解がない中で、日々悪戦苦闘していますが、充実した日々を過ごすことが出来ています。
今後も、仕事面では、支配人として各メンバーの仕事の相談をいつでも気軽に相談してもらえる関係性や働く環境をつくっていき、ステークホルダーの満足度をあげられるよう取り組みます。また、プライベート面でも、何かあれば気軽に相談してもらえるような、支配人としてのグランベルホテルで成長していく社員の鏡となれるように日々精進していきます。
頼れるスタッフとの一枚