教育が人生を変える。それを具現化する新たなサービスを実現していきたい
教育が人生を変える。
それを具現化する
新たなサービスを実現していきたい
このストーリーのポイント
- グローバルなエンジニアを目指し、ネットラーニングホールディングスへ転職
- アジア初に挑む新たなミッション。不退転の決意で臨む
- プラットフォーム事業部長として若手人材の育成にも励む
ネットラーニングホールディングスに転職後、ITスキルと語学力を活かし活躍のフィールドをどんどん広げていった。世界レベルで最先端の技術や開発手法を常にウォッチし、「これは面白い」と思えるものは、積極的に取り入れている。
株式会社ネットラーニングホールディングス
佐々木 公博
技術本部 プラットフォームビジネス事業部 事業部長
2006年9月 中途入社
2020年には執行役員に就任した。それ以来、部分最適ではなく全社最適を考えるようになったという。今の人生があるのも、学びが自分を変えてくれたからこそ。教育の可能性を引き出し、社会に貢献していきたいと願っている。
「将来はグローバルに通用するエンジニアになりたい」という想いがあり、新卒で入社した前職のSI企業では、SE(システムエンジニア)として4年ほど働きました。「ITスキル」と「語学力」が必要だと考え、まずは「ITスキル」を身に付けようと考えていました。客先常駐のプロジェクトで、金融系システムの開発やコールセンターでのアプリツール開発、データ集計などのプロジェクトに携わっていました。
退職を考えた理由は、二つあります。一つは、ITスキルの次に「語学力」を高めたいと計画しており、ニュージーランドに語学留学し、現地で実際に暮らしながら英語を学ぼうと決めていました。もう一つは、会社への帰属意識が持てず、自分自身のキャリアパスが描けなかったことです。プロジェクトによって客先常駐を転々としていて、継続的なキャリア設計・人生設計ができる環境がないことに、少なからず不安を感じていました。
退職後、1年間の語学留学を経験し、転職活動を始めました。主に「事業会社で自社サービスの開発に携われること」、「教育に携われること」の二点を軸に転職先を探していました。当時、もう客先常駐はしたくなかったですね(笑)。自分の将来を描きにくかったこともありますが、プロジェクトによって開発サービスや環境が変わるのではなく、顧客のフィードバックからサービスをブラッシュアップできる自社サービスの開発に携わりたいと考えていました。また、教育・研修業界に興味を覚えたのは、自分の人生を振り返ってみると、“学び”が非常に価値あるものであると気付いたからです。実は私は高校生の頃には、そもそも大学に行こうとは思っていませんでした。ある時に「そういう選択肢もあるのか」と知り、故郷の北海道を離れ高知の大学に進学しました。環境が思い切り変わり、生まれ変わった気がしたんです。また、ニュージーランドでの経験も大きく自分を変化させました。日々の真新しい出来事が学びとなり、自分の価値観や行動がアップデートされ、人生が充実してると感じていました。それならば、次は多くの人に教育や研修を通し、学びの可能性や素晴らしさを味わってもらえるサービスを作り上げたいと考えたのです。
登録先のエージェントから紹介されたのが、ネットラーニングホールディングスでした。ネットラーニンググループは、20年以上前からオンライン学習の領域を牽引し、eラーニング業界最大手として、常に世界のトレンドやテクノロジーを活かし、多様なサービスを自社で開発しています。価値あるサービスを自らの手で生み出していけるのでエンゲージメント高く働くことができますし、教育・研修業界に大きなインパクトを与えられるポジションにあります。転職にあたり重視していた二つの軸にフィットしていた上に、グローバルなステージで活躍できるチャンスもあると聞いて、最適な会社であると思いましたね。それに、直感的に「ネットラーニング」という社名も気に入りました。
世界を舞台に「教育×IT」の可能性に触れる
入社後は、データ集計業務を皮切りに、お客様が要望されるカスタム機能の開発、教育プラットフォーム上でのWebシステム開発、顧客折衝やベンダーコントロールなどのPM業務を主に手掛けていました。
その後、品質管理部へ異動。今度は、システムの品質を向上させる取り組みを任されました。この部署は当社代表の直轄でもあったので、並行して色々なことに取り組ませていただき、面白かったですね。例えば、新規教育事業のプロジェクト推進なども担当しました。具体的には、JMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)と提携し、無料でオンライン授業を配信するOpenLearning, Japan サービスのプロジェクト立上げに参画させてもらいました。また、語学力があることが評価され、スロベニアで開催された海外の教育事情を共有するカンファレンスに参加するなどの貴重な機会も得ることができました。目指してきたグローバルなエンジニアに一歩近づくことができた気がしましたね。
世界を舞台にという意味では、とても印象的なプロジェクトを体験させてもらいました。それが、JICA国際協力機構からの依頼で進めた、バングラデシュの郊外にある農村地域での教育サービス展開でした。
バングラデシュは貧しい国なので、誰もが教育を受けられるわけではありません。農村にいけばいくほど、教材もないし、先生もいないという状況。そこで、インターネットを活用して教育の地域格差をなくそうという取り組みでした。実際に、現地の小学校を訪問しましたが、救世主のように迎えられた時には、子供たちの学びに対する強い意欲が伝わってきました。これも開発は大変でしたね。何しろ、ベンガル語に対応しなくてはいけませんし、現地の通信環境が物凄く遅いので、教材をどう提供していけば良いか悩みました。試行錯誤の末、開発できた時には、「学びが人の人生を変える」ことを改めて認識した気がします。
ブロックチェーンを活用したアジア初のサービス開発に挑む
品質管理部から再び技術部門に戻り、お客様のカスタム機能開発に従事していましたが、新たなミッションに挑むことになりました。それが、学習専用プラットフォーム「Multiverse®︎」(マルチバース)の新機能開発でした。
「Multiverse®︎」とはネットラーニンググループが創業以来掲げてきた、学習者を中心とした学びを提供するための設計思想である「ラーニングデザイン」に基づき、独自に開発された自社サービスのオンライン教育・研修プラットフォームです。そこに新機能を搭載していくために、企画や設計、開発、運用保守のすべてをリードしていくことになりました。立場的にアプリケーションとインフラのメンバーをハンドリングする一方、開発部門として立ち上がったプラットフォームビジネス事業部の実質的な責任者として組織作りにも関わりました。
この事業部のミッション・ビジョンは、IT技術によって「新しい教育・研修・学習を創出し、真に豊かな社会に貢献する」というネットラーニンググループの企業理念を実現すること。そのためにも、新しい学習サービスを生み出していくとともに、安心してお使いいただけるよう強固なインフラ基盤構築に力を注いでいます。
世界技術標準であるオープンバッジサービスの開発もその一環でした。これは、個人のスキルや資格などを証明するデジタル証明/認証サービスです。当時まだ北米にしかない技術で、アジアではまだ誰も手を付けていませんでした。事業ドメインを広げていくためにも、日本で唯一作り上げていきたいと代表に提案し、着手することが決まったのです。
しかし、開発は難航しました。技術標準はシンプルなのですが、それらを使ってどういうビジネスを行うかは全く定義されていません。技術部門だけでは考えられなかったので、営業やサポートなどの部門とも協議を重ね、決めて行きました。また、他社と差別化するために、ブロックチェーンを活用することも技術的にハードルがかなり高かったです。当時はまだ、この技術に精通している人は日本でもほとんどいませんでしたから、まさに手探りでした。
正直言って、「本当にリリースできるのか」と毎日不安でしたね。大きな責任とプレッシャーを感じながらも、必ず実現させるという覚悟で開発に臨んでいました。無事、開発・リリースができて胸を撫でおろしたのも束の間、運用フェーズでさまざまな改善点が見つかり、それらの対応も追われました。しかし現在、オープンバッチサービスは軌道に乗り、新たな事業ドメインとして確立され、業界を大きく変革するポテンシャルのあるサービスへと成長し続けています。
さまざまなプロジェクトに携わってきましたが、いずれも言われたものを作るだけのエンジニアリングではないのが、私たちの文化であり、働く醍醐味であると言えます。自らビジネスを考え、工夫しながら設計・開発する。さらには、利用しているお客様からの感想や要望がフィードバックされ、仲間と一緒になって改善していく。上流から下流まで携わり、「自分たちがサービスを創っているんだ」ということを日々実感しています。お客様の役に立てている喜びを味わえるとともに、お客様が変わっていく姿を見られるのはやりがいにもつながっています。
心理的安全性のある組織で、当たり前に挑戦する風土をつくる
ポジションも、プラットフォームビジネス事業部の立ち上げ当初は副事業部長でしたが、現在は執行役員と事業部長を兼務しています。メンバーは、合わせて20名ぐらいです。
マネジメントする上で心がけているのは、心理的安全性が確保された職場づくりです。システムの出来栄えをレビューする場では、若手であろうが、技術的な指摘であれば何を言っても構わないようにしています。上司や先輩が怒るとどうしても若手は委縮してしまい、パフォーマンスを十分に発揮できないだけでなく、成長のスピードを阻害する要因にもなりますからね。メンバーが一人前のエンジニアになるまで責任を持ちたいという想いでこの取り組みを続けています。
また、メンバーへの育成方針として私は、経験主義を掲げています。これは、アジャイル開発の精神にならったもので、失敗を恐れずに取り組んでいこう、むしろ早めに失敗しようという考えです。だから、メンバーには「取りあえずやってみよう」「失敗したら直せば良い」と積極的・自主的なモチベーションを促しています。結果的には、その方が技術者としてだけでなく、人としても成長するというのが、私の考えです。だから、最初から手を差し伸べるマイクロマネジメントは、絶対にやらないようにしていますね。
他にも、2週間ごとにメンバーには、自己を振り返る機会を設けています。今上手く行っていて今後も続けたいこと、問題となっていること・失敗してしまったこと、次に取り組みたいことをそれぞれに発表してもらい、同僚が意見を述べるという場です。実は、こうした手法はすべて、私自身が「これは面白い、画期的だ」と思い取り入れたものです。それだけに、日頃から日本だけでなく、世界にも目を向け、若手メンバーの成長につながるものはないかと、常に注目するようにしています。
学びのスタイルを変え、社会に貢献したい
日本では教育・学習のIT化が遅れているので、今後も新しい教育・研修サービスを提供していきたいです。新しいサービスを開発することで学びのスタイルが変わります。それが、社会貢献につながると私は信じています。
技術本部としては、プロセスイノベーションによって絶えず劇的に進化する組織でありたいと考えています。そのためにも、グローバルなレベルで競争をしていかなければならないので、よりダイバーシティな環境を実現したいと考えています。今でも我々の部署は、日本人エンジニアは1/3しかいませんが、多様な価値観・考え方は飛躍的な成長に必要不可欠だと実感していますからね。
私個人の新たな挑戦ということでは、Edtech(教育×IT)を推進し教育のビジネスモデルそのものを大きく変えたいです。学習者の視点で学習効果を最大化させる教育・研修を、テクノロジーを使って実現していきたいです。きっとこれまで以上の挑戦と苦悩が待ち受けていると思いますが、同じ志を持つ仲間たちと一緒であれば必ず創り上げていけると確信していますし、「学びが人の人生を変える」と感じたあの瞬間を思い描きながら、日々開発に取り組んでいます。