超大手メーカーからAIベンチャーへ。勇気ある一歩がエンジニアとしての将来を開いた。
このストーリーのポイント
- エンジニアとしての危機感から転職を決意
- 優れた技術陣、恵まれた計算環境に惹かれてHEROZへ
- AIエンジニアとして顧客の成長に貢献できる喜び
誰でも知っている大手電機メーカーからHEROZへ。その勇気ある転職を決めたのは、エンジニアとしての危機感からだった。今、エンジニアマネージャーとして新たな産業の開拓に挑む。ビジョンは、誰でも気軽に利用できるAIサービスを生み出すことだ。
-profile-
金井 将之
HEROZ株式会社
開発部 産業横断チーム エンジニアマネージャー(AIエンジニア)
2018年中途入社
国立大学の大学院でメディカルシステムの研究に携わる。修了後、日本を代表する総合電機メーカーに入社し、AIを活用したサービスの開発に取り組む。6年後、HEROZに入社。エンジニアマネージャーとして新たな産業の開拓に挑む。
常に最先端を走りたいという本能のもと
高専から大学の工学部に編入した際、私の胸にあったのはテクノロジーで医療に貢献したいという思いでした。大学から大学院にかけて取り組んだのは、CTスキャン画像解析の研究。ソフトの開発にも携わり、AIを使って肺がんのCTスキャン画像を診断する研究も行いました。 修了後は日本を代表する総合電機メーカーに入社。学生時代の研究で習得した知見を活かしたいと考えた上での、自然な選択でした。
その総合電機メーカーは、誰もが知っている巨大企業です。知名度や安定性は言うまでもなく、待遇面でも非常に恵まれていました。だから入社6年目、31歳で転職することを決めたとき、両親をはじめ周囲の誰もが驚いたのは当然でした。
しかも転職先がHEROZという誰も知らない小さな会社。私のためを思って引き留めてくれる人もたくさんいて、上司からは3時間も説得されました。当時の私は結婚して子どもが生まれたばかりでしたから、なおのことです。ただ妻だけは「好きなようにしたら」と私を信じてくれました。
常識で考えればあり得ないような転職をなぜ決断したかというと、一言で言えばエンジニアとしての危機感ということに尽きます。
大企業の一員として働いていると次第に時間軸がゆったりしたものになっていき、GAFAに代表されるテクノロジー企業が世の中を凄まじいスピードで変えていることに対してさえ、私の反応は鈍感になっていました。エンジニアでいる限り、常に最先端を走っていたいと思うのは当然のこと。このままの時間軸の中では成長の機会を失ってしまうのではと、焦りを感じました。また大企業ゆえにルールや制約が多く、思うようにAIを使えないというもどかしさもありました。
もちろん今はまだ転職が成功だったかどうか、判断できません。あのまま大企業で基礎的な研究を続けるという選択肢も決して間違いではなかったと思います。ただリスクを恐れずに一歩を踏み出したことは自分で自分をほめたいですし、大きなチャレンジだったことは確かです。あの決断は正しかったと胸を張れるよう、今は歩みを進めるだけです。
国内最高クラスの計算環境
転職先にHEROZを選んだのは、AIの技術をもったゼネラリストになりたいという私の志をかなえるのにふさわしい環境だと感じたからです。
HEROZのエンジニアたちと話をすると、AIの専門家として豊富な知識、知見を有していることがすぐに分かりました。将棋AIの分野では第一人者のエンジニアもいます。その上で組織の風通しがよく、誰に対しても気軽に質問ができ、すぐに最新の知見を共有できる風土があります。こうした社風は前職の総合メーカーとは明らかに違います。その結果生まれるスピード感も心地よいものに感じられました。
計算環境の充実ぶりにも驚かされました。入社当時からベンチャー企業としては国内最高クラスの計算環境ではありましたが、さらに今ではディープラーニングに必要なNVIDIA製Tesla搭載のGPUサーバ、探索問題等の計算のためのSupermicro製ブレードサーバ等も導入しており、常に性能の良いAI開発のための環境が整備されています。どんな案件がきても十分に耐えられる、ベンチャー企業としては考えられないほど素晴らしい計算環境といえるでしょう。
そのためハードウェアが非力で案件を断念するという悔しい思いをする心配はありません。しかもコンペの段階でも気兼ねなく使えます。こうした環境はAIエンジニアにとって非常に恵まれたものです。
働き方も快適です。フレックス勤務制、裁量労働制が導入され、メンバーの大半がリモート勤務です。残業をすることもめったにありません。有給休暇も積極的に取得するようにしており、仮に未消化だと会社から取得するように促されます。プライベートの時間を十分に確保できるのは、幼い子どものいる我が家にとって大変にありがたいことで、妻も喜んでいます。
社員同士はほどよい距離感を保っており、特に互いに敬意をもって接していることが感じられます。高い技術をもった専門家の集団ならではのカルチャーだといえるでしょう。
コンサルタントと共に顧客の課題を解決する
HEROZではこれまで金融・建設・エンタメという3つの産業に対し、AIを活用したサービスを提供してきました。私の所属する産業横断チームはこれらに続く第4・第5の産業を開拓することがミッションで、私はチームのエンジニアのマネジメントを担当しています。
既に不動産業界、製造業にターゲットを絞って提案活動を行っており、具体的なケースとしてある大手メーカーに対してAIを活用した需要予測システムを導入し、運用しています。今後はあらゆる産業がターゲットの候補となりますので、どんな業界の顧客から相談が来ても対応できるよう、広く深くビジネス領域の知識を深めていこうとしています。
得てして顧客はAIを導入すればすべてが解決すると考えています。もちろんそんなことはありません。そこで顧客に対してはAIには何ができて、何が不向きか、どのような課題に対してどのように活用すべきかを説明する必要があり、そのためにビジネスコンサルタントと一緒にエンジニアが顧客のもとへ出向いていきます。
そして顧客固有の課題を明らかにし、例えば生産ラインの異常検知を進化させるべきではないか、ビッグデータを活用した商品管理を行うべきではないかといった提案を行います。需要予測にしても、1週間後の見通しが欲しいのか、1年後を予測したいのかで、必要とするデータが変わってきます。そうした細かな説明を行うことがエンジニアの役目となります。AIといういわばマニアックな領域の技術力を発揮することで課題解決の道筋をつけていき、その後、開発・導入・運用というステップを踏んでいきます。
HEROZのAIプラットフォームである「HEROZ Kishin」は最適化エンジンが強みであり、これは将棋AIで培った最善の一手を解析する力に基づくものです。どの業界にとっても“次の一手”を知ることは重要で、例えば最適な社員数や最適な商品価格を解析する上で「HEROZ Kishin」は力を発揮します。優れた棋士がそうであるように、これまで“次の一手”は人間がカンや経験といった肌感覚で弾きだしてきました。「HEROZ Kishin」を活用してそうした解を導き出すと、顧客からは「よく見つけてくれましたね」と驚かれます。
その結果が顧客の売上や利益といった数字に跳ね返ってくることに、私はエンジニアとしての喜びを感じます。これはアカデミックな分野やコンペティションでは得られない実感です。
AIによって世の中をよりよいものへ変えていく
HEROZに入社したおかげで改めて気づいたことがあります。それは前職の総合電機メーカーで自覚することなく身につけていたスキルの重要性です。
多くのメーカーでも同様かと思いますが、そのメーカーでも製品の製造にまつわるあらゆることを言語化し、ドキュメント化することが行われていました。エンジニアであっても、例えばなぜその開発手法を用いたのか、どういう経緯を経て製品化に至ったかなど、明確に言語化することが求められるのです。それによってノウハウの横展開や伝承が図られていきました。私はこの作業が苦手でしたが、6年間にわたって鍛えられた言語化のスキルは、現在の仕事に大いに役立っています。
例えばソースコードは目で見ることができますが、そこに込められた思想は見えません。言葉でしか伝えられないのです。顧客と一体となってプロジェクトを進める際、エンジニアとしてどんな思想で開発を進めていこうとしているのかを伝えるのは重要なことで、言語化のスキルが発揮されるのはそんなときです。
おそらく日本の大手メーカーに勤務しているエンジニアならば誰もがこのスキルは身につけているはずです。それはAIという最先端のテクノロジーによるサービス開発に携わる際、大きな武器になるということを知っていただけたらと思います。
今後、私のチームでは幅広い業界の多様な案件に携わっていくことになると思います。その結果、業界に変革が起き、世の中が変わっていくことに貢献できたらと考えています。
そうした様々なプロジェクトを推進していく中から、これに関してはHEROZがトップというテクノロジーを生み出したいですね。そして誰もが気軽に利用できるAIサービスを生み出したいと思います。
転職は人生の大きな転機です。安定して居心地のいい大企業から飛び出すのは勇気がいるし、リスキーなことかもしれません。けれど思い切って一歩を踏み出すことで、エンジニアにとっての新しい道が必ず開けてきます。
多くのエンジニアの方はご自分でも気がついていないバリューをおもちです。ぜひ自信をもって新しい世界へ飛び込んでみませんか。チャレンジをお待ちしています。
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