資産運用会社のファンドマネージャーとしての自らのプレゼンスを確立したい。
このストーリーのポイント
- アナリストとしての経験がファンドマネージャーとしてのキャリアにつながっている
- 派手に見えるが、実は緻密かつ丁寧な仕事の積み重ね。それが、資産運用の仕事
- チームで連携しながら最大のパフォーマンスを目指していく、それが三井住友DSアセットマネジメントの良さ
学生時代、ゼミの教授から「アナリスト」という仕事は、会社を数字(財務指標)で分析していくことであり、歴史や将来を読み解き、自分なりの仮設を立てながら企業の将来を見通す仕事だと教わった。論理的に考えていくことが好きだった私は、アナリストという仕事が適任だと思いアナリストになれることを軸に就職活動をしていた。入社後は念願のアナリストとしてデビュー。実績を積み上げていくことは簡単な道のりではなかった。自分なりに分析した結果を人に説明し納得してもらわないといけない。他の人と同じ情報だけでは差別化が図れない。人よりも多く情報を得て、それを自分なりに考察していくことが求められる。それが難しさでもあり、楽しさでもあった。しかし、アナリストとして実績を積み上げていくなかで、自らのプレゼンスをマーケットのなかで発揮させたいという想いが強くなり、ファンドマネージャーへの転身を希望するようになった。希望がとおり、2018年の夏、株式運用部(現株式運用第二部)への異動が決まりファンドマネージャーとしてのキャリアを歩み始めた。
Profile
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
2002年大学卒業。企業調査部で中小型株のアナリストを務める。その一方、「自らのプレゼンスをマーケットのなかで発揮させたい」という想いを抱くようになり、2018年夏よりファンドマネージャーに転身。今後は、ファンドマネージャーとしての自分のプレゼンスを確立したい。
日々の積み重ねにより、アナリストとしての信頼を得る
アナリストとして中小型株の新規銘柄の発掘などを行っていました。発掘した企業を調べて、分析し、ファンドマネージャーにプレゼンをします。自分が企業をどのような考えで評価しているのか、なぜ今この銘柄を買うべきなのかを論理的に伝えていく仕事です。中小型株は対象企業数も多く業界も様々なので、たくさんの企業とコンタクトをとり、自分なりに方針をたてて企業調査をすすめていました。実績を積み上げていくことは簡単な道のりではありませんでしたが、「諦めない」気持ちで日々信頼を得るために取り組んでいました。こうした「諦めない」という姿勢があったから、仕事の壁を乗り越えることが出来たと確信しています。実績が出れば出るほど、以前の私は「自分の努力次第で結果が出る」、むしろ「誰かを頼らなくても実績を残すことができる」と自負していた部分もありました。しかし2010年に第一子、2014年に第二子を出産してからは、予期しえないことが増え、自分ひとりでは結果を出せないことを痛感しました。子供のお迎えに行かないといけないし、突然熱を出すこともありました。もともと、この業界には出産後に職場に復帰し、第一線で働き続ける女性アナリストはほとんどいません。業界で前例のないことに挑んでいくためにも、頼りにしていた上司に状況を丁寧に伝え、訪問先の企業さまに対しても同様に状況を伝えつつ、とにかく丁寧な仕事で返すしかないと言い聞かせてきました。そして、自分自身で働く場の環境・土壌づくりを地道に整え、周りを変えていけるよう努力してきました。そこまで仕事を続けたいと思う背景には、経済的に自立したい、自分も夫も一生懸命働いている背中を子供に見せていきたいという想いがありました。
その結果、アナリストであり、そして母親である私自身というポジションの確立が出来たと考えています。企業訪問の際、企業が発信している情報をもとに経営者に質問をしても、それ以上の情報は出てきません。自分の足で得てきた情報や他の取材で得た情報を自分なりにまとめ、議論を交わすことで経営者の本当の思いや方針等、聞きたい部分を聞き出すことができます。自分なりに考えをもって経営者と対話をすることで、良いコミュニケーションの循環を生みだせるようになりました。それが投資のプラスαを生んでいっているように思います。
アナリストからファンドマネージャーに転身。当初は戸惑いの連続
2018年夏に現在所属する株式運用部(現株式運用第二部)バリュー+αグループに異動となり、以来、ファンドマネージャーを務めています。
株式運用第二部は、主として国内外の株式ファンドの運用を担当しています。
そのなかでバリュー+αチームは、バリューをベースに保有銘柄等の企業価値向上のためのエンゲージメント活動にも力をいれているチームです。経営者、マネージメント層とのコンタクトをとても重視しており、中長期目線でマーケットや投資家に企業価値向上の施策をいかに伝えていくかといった対話を行う機会が多々あります。
ファンドマネージャーになってからも、私の仕事のスタイルは基本的に何も変わっていません。丁寧に取材を積み上げることと、コミュニケーションをとり続けること。ただ、担当が全上場銘柄となり、アナリストの頃と比べると対象銘柄数が10倍近くに増えました。その分、アナリストの時のように深掘りができなくなりましたが、事前準備を徹底することで必要な情報をピンポイントで把握するように努めています。徐々に件数を積み上げることで、それぞれをつなげて考える癖も身についてきました。
それでも、ファンドマネージャーとしてパフォーマンスを上げるという課題を乗り越えるのは簡単なことではありません。特に異動当初はかなり苦労しました。実際に投資をする立場になると、アナリストの時に正しいと思っていたことが通用しないケースが出てきます。アナリストがいいと思ったことが、必ずしもファンドマネージャーとしてもいいとは限らないのです。たとえば、アナリストは「この銘柄は買いだ」といい、期間を長めに設定しますが、それだけではファンドマネージャーは買えません。本当に3年後の株価が上がっているにしても、今の株価に何が織り込まれていて、何が織り込まれていないか、投資のタイミングが合わない場合は買うことができません。私自身もアナリストの経験を気付かないうちに引きずってしまい、ファンドマネージャーとして正しい判断ができていない時もあったと思います。お客さまのお金を預かっている立場なのですから、金利などのマクロ指標や株式需給なども含めて、今まで意識しきれていなかった様々なファクターにも気を配り、早めの投資行動と判断を意識して取り組むようにしています。
これまでで「何か印象的なエピソードがあったか」と聞かれるとドラマチックなことはあったわけではないので少し困りますが、物事のすべてが細かいことの積み重ねだと思っており、「次もあなたの意見を聞きたい」と言ってくれるお客さまが増えたことや、社内だけでなく社外においても「あなただから信頼できる」という言葉をいただけた時はとても嬉しく、私の仕事のやりがいになっています。
自分で抱え込まず、仲間に頼ることで心に余裕が生まれる
私がいま、ファンドマネージャーとしてのキャリアを歩むことが出来ているのは、職場の雰囲気が非常に良いからだと言えます。チーム制が機能していることを実感しています。実際に、相場の急激な変化や潮流の変化と個別銘柄への投資判断が合わず、どんなに考えても答えが出ないときがあるものです。自分だけではカバーできないことも多くなったため、チームの人に「頼る」「助けてもらう」ことを躊躇せず行い、「抱え込む」ことを意識的にしないようにしています。上司もメンバーも、私の性格や考え方をわかってくれています。「どうすれば良いか」と相談すると、「こんな分析結果がある」、「自分だったらこうする、こう考える」と提示してくれます。違うチームのメンバーにも「私のために」と調査・分析を頼んでくれたりすることもあるくらいです。それをもとにミーティングを重ねると、議論の組み立てがスムーズになります。また、調子が上がってきたら「こういう時に何をするかが大事だよ」と諭してくれるメンバーもいたりします。アナリストは自分自身で完結することも出来ましたが、ファンドマネージャーはいろんな人に助けてもらわないと出来ない仕事だと実感しています。
他にも当社は、フレックス制やテレワーク、サテライトオフィスを導入するなど、勤務体系も柔軟になってきており、その点は本当に有難いと思っています。
ファンドマネージャーとなってから1年で私は、自分の意見や考えにも間違いがあるかもしれない、ということを常に意識するようになりました。アナリストのときは自分が正しいと思うことを説明していればよかったのですが、今は違います。自分にも間違いがあるかもしれないという謙虚な姿勢を持つこと。それがないと運用責任を全うできないことを学びました。
私のいまの目標は、ファンドマネージャーとしての「私」というプレゼンスを業界内で確立させること。そもそも、ファンドマネージャーになろうと思ったきっかけもそこに尽きます。私は「こういう人間なんだ」「こういうことを考えているんだ」とマーケットにしっかりと認識してもらい、活力を得ていくには、一流のファンドマネージャーにならないといけないと思っています。だからこそ、「いつまでに運用資産残高をここまで増やしたい」といった具体的な目標を思い描いています。それを実現するには、逆算していつまでに何をするべきかをリストアップし、それらを年次、月次、日次へとブレイクダウンしていき、一つひとつをクリアするようにしています。ノートにも、「こうなりたい」という気持ちを常に書き込んでいます。一瞬一瞬、一日一日、一つひとつの積み重ねが、未来につながっていくので、1歩1歩進んでいくことが大事だと考えています。
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