論理と創造で未来を拓く。やさしさある技術で社会をもっと便利に、豊かに。

論理と創造で未来を拓く。やさしさある技術で社会をもっと便利に、豊かに。

論理と創造で未来を拓く。やさしさある技術で社会をもっと便利に、豊かに。

このストーリーのポイント

  • お年玉で買ったバレーボールシューズの設計技術に魅了され、素材研究の道へ
  • 入社1年目からエアマットの新機能開発を主に担当。看板商品の販売につながった
  • ひらめきを具現化する心強いサポート体制を得て、もっと人の生活を豊かにしたい

パラマウントベッドが掲げる「WELL-BEING for all beings」を実現するカギは、医療・介護領域で培ってきた独自のテクノロジーだ。1人ひとりの研究開発にかけるあくなき執念が超高齢社会の課題解決につながる。

PROFILE
パラマウントベッド株式会社

A.N.

研究開発部 先行技術開発課

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大学では高機能ポリマーの研究、大学院では生体材料学を専攻し、人体で使用されるさまざまな素材に関わってきた。人が生涯の多くの時間を過ごすベッド。そこでの体験を改善したいと、未来の暮らしを想像しながら開発にあたっている。将棋やデータ分析コンペといった論理的思考力を鍛えているほか、スキーやサックスもたしなむ。

人の生活を直接支えるものづくりがしたい

私が理系の道を志したきっかけは、中学生の頃に遡ります。バレーボール部に所属していた私はお年玉を使って、当時最先端の技術が使われていたあこがれのシューズを購入しました。このシューズを手に入れた喜びはもちろんありましたが、私の関心を惹きつけたのは、その設計技術でした。ソールの色や硬さなどが場所によって異なることや、吸盤のような形状が特徴的な配列をしていることなど、素材の性質や構造の意味づけを調べることに夢中になりました。このシューズは15年以上経過して劣化が進んでボロボロになりましたので、もう履くことはできません。しかし、今でも自宅で大切に保管しています。私がものづくりに興味をもつこととなった原点であり、今でも人生を変えた宝物だと思っているからです。

このように素材への興味をもった私は、大学で化学を専攻し、高分子材料の物性を研究しました。大学院に進むと、人体で使える接着剤の開発にも携わり、手術時の縫合に代わる新しい可能性を探究していました。この研究室での経験から、私は使用している人の喜ぶ顔が思い浮かべられるようなものを生み出す仕事がしたいと強く感じるようになり、就職活動では一貫して最終的な製品を作るメーカーにしぼって志望しました。

化学系の学生には原材料や素材のメーカーが人気ですが、私は人に愛着を持ってもらえる最終製品を作りたかったのです。当初は中学時代の記憶から、バレーボールシューズを製造している、スポーツ用品メーカーの志望度が高かったと記憶しています。

しかし次第に、日本は世界に先駆けて高齢化が進んでいること、介護や医療の分野で最先端の課題に向き合えると考えるようになりました。ヤングケアラーや老老介護といった社会課題にも関心があり、それらの解決に少しでも貢献できる仕事がしたいという思いが強くなっていったのです。就職活動中に祖母を亡くした経験も、私の決断に影響を与えたように思います。亡くなる直前に面会した時、もう会話のできない状態にもかかわらず、祖母は何かを必死に伝えようとしているように感じられました。言葉にできない思いを抱えながら過ごす方々の気持ちに少しでも寄り添い、より快適に過ごしていただける製品を作りたいという思いが芽生えていったのかもしれません。

パラマウントベッドの人事面接や社員の方々との対話を通じて、優しさや気遣いに心地よさを感じ、志望度は面接を重ねるごとに高まっていきました。無事に内定をいただいた時点で、私は「マットレスの開発に携わりたい」と明確に伝えていました。高分子材料が使われるマットレス開発は、物性研究の知見を活かせると考えたからです。そのときは、他社の選考を辞退するほど、明確な第一志望になっていたことを今でも覚えています。

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自分の名前がついたシステム開発で感じた誇りと責任

マット内の空気を制御することで自在に硬さを調整できるエアマットという製品があります。当時、空気の流れを解析して、患者さんにとっての最適な硬さを自動で判定するAIが必要とされていました。最初は上司から教わった方法でデータを取得し、それを報告するという単純な作業の繰り返しでしたが、実験を重ねるうちにマットレス内の空気の流れに関して、ある重要な気づきがありました。「このデータを解析に使えるのではないか」と考え、上司に提案したのです。

理論的な裏付けもあり、このアイデアは私の予想以上に高く評価されました。結果的に、眠っている人の体重や姿勢に応じて、マットレスの硬さを最適に自動調整するAIシステムの重要な要素となったのです。さらに驚いたことに「君が主担当で進めてほしい」と上司に抜擢され、このシステムのチーム内の通称には、私の苗字がつけられるようになりました。このシステムは後にその他、複数の製品にも搭載され、会社の重要な知的財産となりました。重要な技術的発見があるシステムに、私の名前を冠して花を持たせていただいたことには、深く感謝しています。

こうして私は、誇りと責任を感じながら仕事にあたることができましたし、新入社員のアイデアでも、価値があれば採用する風土があったことが幸運だったと思います。経験豊富な先輩方も、他部署との調整や説明の場面で、私1人では荷が重い場面でもサポートしてくれました。

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医療・介護現場から聞く生の声は開発に活きる最高の一次情報

研究開発の仕事というと、実験室に閉じこもってパソコンやデータと向き合い続けるイメージを持たれるかもしれません。しかし、パラマウントベッドでの開発業務では、現場の声を直接聞く機会が数多くあり、それが何より貴重な情報源となっています。

私が開発に携わったシステムも、販売の直前に実施した介護施設でのモニター評価で「使いづらい」という評価を受けたときは非常に焦りました。量産化に進む重要な時期でしたが、現場の声に真摯に向き合い、改良を重ねることで、ようやく実用化にこぎつけることができました。パラマウントベッドには全国に広がる販売網があり、ユーザーの声に常に耳を傾けることができます。介護施設の職員の方々が日々どんな課題を抱えているのか、どんな工夫をされているのか。そういった生の情報に触れることで、より良い製品開発のヒントが得られるのです。

私の仕事も、想定していた以上に社会との接点が多いと感じています。実際に使われている現場で「この製品を使ったおかげで重労働の負担が軽くなった」といった感謝の言葉をいただくこともあります。そんなとき、誰かの生活に確かに貢献できているという実感が湧いてきます。研究開発に携わる私たちにとって、現場の声は最高の一次情報です。理論や技術を追求しながらも、常に実際の使用場面を想像し、現場のニーズに応える。その繰り返しが、真に役立つ製品を生み出すのだと実感しています。

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可能性は自分次第。まだ世の中にないもので誰かを助ける

現在、私は3~5年後の未来を見据えた新規センサーやAIの開発に取り組んでいます。未来の社会はどう変わり、そこでどんなニーズが生まれるのか、時代に求められる技術を予測しながら、まだ世の中にない価値を探索しているのです。そのため実験に使うセンサーも自作し、評価方法もゼロから自分なりに確立する必要があります。ディープラーニングなど高度な技術も活用しながら、未来の医療・介護の在り方を模索する。そんな壮大なチャレンジに、毎日わくわくしながら取り組んでいます。

ベッドは人生に欠かせないものだと思っています。赤ちゃんが生まれて初めて眠る場所であり、人生の最期を過ごす場所かもしれない。入院していたらほぼ1日中、ベッドにいることになる生活の場そのものです。したがって、人体がもっとも長く触れる装置であり、人間の生活にかかわるあらゆる情報がまだ眠っています。その情報を活用し、誰も気づかなかった体の変化の検知や、新しいケアの方法の提案につながるかもしれません。

研究開発では、あらゆる分野の知識が武器になります。機械、AI、化学、デザイン、音楽など、一見関係ないと思える知識や経験が、新しい発想を生む源泉となるのです。自分の専門分野にとらわれず、興味のあることに積極的にチャレンジしてほしい。私は、好奇心旺盛な仲間と一緒に働けることを、心から楽しみにしています。「これ、作ってみました!」と、楽しそうに新しいアイデアを披露してくれる。そんな人と働きたいです。パラマウントベッドには、創意工夫を受け入れ、育ててくれる土壌があります。私自身も、これからもっと技術を磨いて、人々の暮らしをよりよいものにしていきたいと決意しています。

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