ものづくりは“人づくり”。「飯塚鉄工所」で感じる、成長の喜び。

ものづくりは“人づくり”。「飯塚鉄工所」で感じる、成長の喜び。

ものづくりは“人づくり”。
「飯塚鉄工所」で感じる、成長の喜び。

このストーリーのポイント

  • 実習で飯塚鉄工所のものづくりを体験し、入社を決める
  • 失敗にも学ぶ姿勢を大切に、成長を続ける
  • リーダーとしての責任のもと、若手の育成にも取り組む

ものづくりの現場が大好きで入社した飯塚鉄工所。想像していた以上に奥の深い仕事に、ものづくりの醍醐味を知る。現在は若手の育成にも取り組み、その成長ぶりに喜びを感じている。

PROFILE
株式会社飯塚鉄工所

渡邊 芳明

製造部 グループリーダー
2010年入社

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新潟県柏崎市出身。ものづくりが好きだったことからメーカーを志す。高校卒業後、メーカー2社を経て、3社目として飯塚鉄工所に入社。現在はグループリーダーを務め、若手の育成にも取り組む。3人の子供がいて、間もなく4人目が誕生予定。

実習でものづくりの面白さを体験

高校時代に夢中になったのはスノーボードです。学校のスキー旅行で初めてスノーボードに挑戦してすっかり夢中になってしまい、以来、妙高を中心に滑りました。朝早く、まだ誰も滑っていないゲレンデに出て、雪を舞い上げながら滑るのは最高でした。今はなかなか滑る時間も取れないですが、あの爽快感は忘れられません。

高校を卒業して入社したのが地元のメーカーでした。私は昔からものづくりが好きで、今も休日にはDIYを楽しむことがあります。せっかくなら大好きなものづくりの現場にいたいと考えて選んだ会社でした。
2社目も同様にものづくり会社を選んだのですが、リーマンショックのあおりを受けて退職することに。これを契機に改めてものづくりについて基礎から学ぼうと考えて、職業訓練校に入学しました。ここでの実習先が飯塚鉄工所でした。

飯塚鉄工所での実習期間は約1か月半。このときのものづくりは、心底楽しかったです。図面をもとに自分でプログラムを組み、加工機械を操作すると、丸い金属の棒がどんどん形を変えていき、当初とは似ても似つかない複雑な形の部品に仕上がっていきました。それはまるで魔法のようで、ものづくりってこんなにも面白いんだと興奮しました。
飯塚鉄工所も、私のそれまでのメーカーでの経験や実習に真面目に取り組む姿勢を評価してくれたようで、「ウチで働かないか」と声をかけてくれました。もちろん私は快諾。素晴らしい縁に感謝しています。

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失敗を繰り返すことで成長してきた

実習期間に接していた飯塚鉄工所の先輩社員は、いい人ばかりでした。何を質問しても皆さん丁寧に教えてくれるし、休憩時間にも声をかけてくれます。同年代の社員も多く、すぐに溶け込めました。だから、中途入社だから組織になじむのに時間がかかるのではという不安はまったくありませんでした。
一方、業務に関しては不安がありました。実習での体験は面白かったですが、実習はあくまで実習。業務となると高い技術が求められるでしょうし、納期や品質にも妥協は許されません。自分がしっかりそれに応えられるか、自信はありませんでした。
もっとも今振り返れば、ひとりだちするまで5年はかかるのがこの仕事です。入社してすぐに完璧な仕事ができるはずもありません。これから入社される皆さんも、5年で一人前になればいいと考えて、焦らずじっくりと学んでいただければと思います。

今でも思い出すのが、入社初日のことです。製造部に配属されると、上司が私に「これが担当の機械だから」といきなり加工機を任せてくれたのです。自分にはまだ何もできないと思っていたので驚きましたが、ものづくりの仕事は机上でなく、実際に一つひとつ経験を積んで学んでいくしかないという考えの表れだったのでしょう。分からないままに自分で機械を操作し、覚えていくしかありません。当然、最初からうまくいくはずもありませんから失敗します。その失敗も大切な経験となり、自分を育ててくれるのです。これがものづくりの現場での学びです。

入社して1年ほど過ぎた頃のことです。経験を積み、仕事にも慣れてきた私に与えられたのは、非常に難しい特性を持った金属材料の加工という仕事でした。
周囲の先輩に質問しながらチャレンジしましたが、当然うまくいきません。失敗して、最初からやり直しです。ところが3度、4度と繰り返しても失敗続きで、非常に高価な材料だったこともあって、ついに先輩から「何回失敗しているんだ」と大目玉を食らってしまいました。先輩も最初は我慢して見ていたのでしょうが、我慢しきれなくなってしまったのだと思います。
このときはさすがに落ち込みました。ただ、絶対に投げ出したくはなかったし、最後までやり遂げようと覚悟を決めていました。ようやく完成にこぎつけたときは、歯を食いしばって壁を乗り越える大切さを学びました。
これが今までで一番苦労した思い出です。私を叱った先輩とは今も会社で顔を合わせますが、先輩もあのときのことが印象的だったようで、照れくさそうな表情を私に見せてくれます。

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先輩後輩の垣根を越えて支え合う

飯塚鉄工所でのものづくりには、実習期間に感じた以上の面白さ、奥深さがあります。
材料となる丸い金属の棒を回転させ、工具で削りながら求められる形に仕上げていきますが、その際は1000分の1ミリ単位での精密さが要求されます。金属材料によって特性はまったく異なるため、最適な条件を求めることは容易ではありません。失敗も含めて、いかにたくさんの経験を積んでいくかが大切なのです。
その際に必要なのは、なぜ失敗したのか、なぜこの条件がうまくいったのかと、常に疑問を持つこと。そんな姿勢を持つ若手は成長が早いのも事実です。

私が製造しているのは、化学プラントのポンプに使われる部品や、医療機器に使用される部品などです。特に医療機器は人々の生命を支えるものなので、品質に妥協は許されません。
現在私は大型の加工機械を担当し、非常に複雑な形状の部品を製造しています。金属を削って仕上げていくために複雑なプログラムを組み、意図したとおりに仕上がったときの達成感は非常に大きいものがあります。
製造した部品は化学プラントや医療機器の中に組み込まれてしまうので直接見ることはできませんが、人々の目に触れないところで社会に不可欠なそれらを支える役割を果たしていることを、誇らしく感じます。

3年前からはグループリーダーも担当しています。メンバーは8人で、加工機は10台。リーダーの役目は、納期どおりに製品を仕上げられるよう、メンバーと加工機の動きを管理することです。
グループの中には私よりはるかに経験豊富なベテランもいて、この先輩も以前はグループリーダーを担当されていました。その経験をもとに私をサポートしてくれるので、とても頼りにしています。メンバーの質問に答えることもグループリーダーの役目ですが、その際もベテラン社員がアドバイスを送ってくれます。
先輩後輩の垣根を越えて互いに支え合う風土は、非常に心地よいものです。

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男性育休取得第一号として

若手を指導する際に私が大切にしているのは、まず自分でやらせてみて、わからないことを質問させ、一緒に考えて答えを見つけていくことです。失敗しても決して叱ったりしません。若手が萎縮して、質問しづらくならないようにという思いからです。
先ほども言ったようにこの仕事で一人前になるには5年はかかりますから、じっくり焦らずに育てていこうと考えています。少しずつではあっても着実に成長している姿を見るのは育成の仕事の醍醐味です。そこにかつての自分の姿を重ねながら、さらなる成長を促していきます。

入社6年目に結婚しました。現在子供は、7歳を筆頭に3人いて、もうすぐ4人目が誕生する予定です。3人目が生まれたときは1ヵ月半の育児休業を取得しました。当社の男性育休取得の第一号だったそうです。もちろん間もなく生まれる4人目でも、育休を取得するつもりです。
前回の育休から復職した際は、周囲から「どうでしたか」「自分も取得したいと思っている」と声をかけられました。男性社員の育休に対する関心は高いようで、これから取得者が増えてくるのではないでしょうか。
また、有給休暇が取得しやすいので、子供の急な発熱などでも、気後れせずに早退できます。男性にとっても子育てしやすく、充実したワークライフバランスを実現できる環境です。

私はものづくりの現場が好きなので、これからも管理部門というよりは工場で自分を磨いていきたいと考えています。若手の成長に取り組むのはもちろんですが、自分自身、まだまだ未熟だという思いが強いので、向上心を忘れずに成長していこうと思います。
成長のために大切なのは、誰かが背中を押してくれるのを待つのではなく、自ら積極的に一歩を踏み出そうとする姿勢です。私も若手と同じように、焦ることなく、着実に前に進んでいきます。

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