情熱を支えに、自ら発信して行動した。 「やりたいことをやれる」風土が自分を成長させた。
大学時代のアフリカ・ケニアでのボランティア。
日々を全力で生き抜くことの大切さを知った。
海外に対する漠然とした憧れから、英語を学びたいと思い外語大に進学しました。しかし、自分の中に明確なポリシーや目標がなかったため、大学生活に楽しみや喜びを見出せない日々が続きました。何をしても不満足、不完全燃焼であり、果たして自分はこれからどう生きるべきなのか、大いに悩みました。そしてその苦境を脱するために、当時の私が考えたのが、自分の武器となるもの、つまり自分独自となる知識や経験を身に付けることでした。その考えから辿り着いたのが、ボランティア活動でした。
大学2年の夏、1ヶ月間、アフリカ・ケニアへボランティアのために向かいました。目的は、HIVで親を失った子どもたちのための孤児院建設。私にとって初めての海外であり、現地のボランティアスタッフで、ただ一人の日本人。渡航前、可哀そうな国を手助けするという気持ちでいました。しかし現地での1ヶ月を通じて感じたのは、子どもたちを含め現地の人たちは、日本人より幸せなのではないかということです。彼らの日々の暮らしは貧しいものの、自分たちの世界の中で一日一日を精一杯生き抜いている、だからこそ弾けるような笑顔もある、その笑顔の中に日本人にはない確かな幸せを感じたのでした。
帰国後思ったことは、今自分がやるべきことをやろうということ。その一つとして、世界を自分の目で見るために、アジアを中心に旅をしました。また海外との関わりがあるNGOの活動に参加するなど、今ある環境の中で充実した日常を求め、ケニアの子どもたちのように全力で日々を生き抜く、そんな学生生活に転換したのです。そして、そんな私にも就職活動の時期がやってきたのです。ただ当時は常にTシャツとジーンズ、背中まで髪を伸ばした風体であり、就職活動そのものにあまり関心がなかったのも否めない事実でした。当時、カメラが好きだったこともあり、カメラマンになりたいと思っていたくらいですから。
「正義を貫く」という言葉のインパクト。
全店舗を訪問してレポートを提出した就職活動。
前向きな気持ちとは程遠かったのですが、周囲の流れに身を任せるように、リクルートスーツに身を包み、一応身だしなみは整えて合同会社説明会に参加しました。そこで、目に飛び込んできたのが「鎌倉」を社名に入れた当社です。なぜ目を引いたかといえば、私が鎌倉出身だったから。当初の印象は、本社所在地を社名に入れていることに野暮ったさを感じましたし、そもそもメーカーズシャツ鎌倉(以下、鎌倉シャツ)という会社名は初耳でした。
しかし、人事や店舗スタッフの話を聞く中で、「この人たちは人生をエンジョイしている」ことを実感、俄然興味が湧きました。さらに自分たちは「正義を貫く」という言葉にも強く惹かれました。それはお客様のみならず、共に働く仲間に対しても常に誠実に対応することを意味しており、この最初の出会いで入社したいと思っている自分がいました。それからは、他社には目もくれず鎌倉シャツにどうすれば入社できるか、採用されるかを考え実践することが、私の就職活動となったのです。
具体的には、当時あった13店舗(現在は24店舗)全店を訪問し、あえて作った写真付き名刺をスタッフに渡し、ヒアリングを重ねました。ヒアリングには目的がありました。面接で全店舗のレポートを提出することを考えたからです。実際、各店舗のスタッフは、私がイメージしていた通り、誠実さと熱い情熱を持った人ばかりであり、この環境であれば自分の力をフルに発揮できる、そう確信したのです。そうして内定をいただいたのですが、大きな悩みがありました。当時、私がやりたいと思っていたのは、広告媒体の制作にカメラ担当として関わることであり、カメラマンの道も捨てたわけではなかったのです。そんな折、人事の方からあるカメラマンを紹介してもらいました。会社側が私の想いを汲んで配慮してくれたのです。カメラマンの話を聞く中で、気持ちの整理がつき入社を決めました。
鎌倉の海岸で実施した「ビーチクリーン活動」。
地域と共存する強いメッセージがブランドを育てる。
就職活動、内定を通じて言われていたのが「やりたいことをやらせてくる風土」がある会社ということでした。相談に乗っていただいたカメラマンも外部の視点から同様のことを話していました。そこで私は、入社前の大学4年生のとき、ある提案をしました。それが今に続く「ビーチクリーン活動」です。これは、本社がある鎌倉の海岸をボランティアで清掃するというもの。アフリカ・ケニアのボランティアでは多くのことを感じ学びましたが、最も思ったのは、みんなで一丸となって誰かのためになることに取組む「ボランティアの良さ」。そのことを多くの人と共有したいと考えたのです。その実践として「ビーチクリーン活動」を会社に提案しました。
この私の提案を、ましてや入社前の大学生の、ビジネスそのものとはかかわりのない提案を当社は受け入れてくれました。「やりたいことができる」会社であることを、早々に実感したのです。企画運営はもちろん私ですが、必要経費は会社が支出。先輩である社員の方々にも声をかけ、第一回目の「ビーチグリーン活動」は約70名が集まりました。一時間の清掃後、そのビーチで懇親会を開催。参加者からは「楽しかった、来年も来たいと思っている」と高い評価をいただくことができました。
こうして入社した私は、大船店に配属され販売スタッフとして勤務することになりました。そして2年目の「ビーチクリーン活動」の時期がやってきました。社内には継続して実施することに前向きな意見がある一方、ボランティア活動を評価はするものの本業への影響を危惧する声があったのも確かです。それでも実施にこぎつけたのは、会長・役員をはじめ、活動の意義を認める多くの賛同の声があったからでした。2019年で10年目を迎える「ビーチクリーン活動」は、直近では約450名が参加する規模にまで拡大しています。この活動は鎌倉という地域と共存するメッセージであり、鎌倉シャツのブランディングにも一役かっていると確信しています。
働き甲斐のある会社への進化を目指す中で、
鎌倉シャツを世界に発信していきたい。
私は大船店で1年間勤務後に人事採用担当となり、現在に至っています。当社は約180名の社員を抱えていますが、その半数以上を採用してきました。私が採用において心がけているのは、自分より凄い人、優れた人を採用することです。そういう人と一緒に働きたいと思うから。凄い人、優れた人を明確には形容できませんが、まず素直であること、真面目であることは基本中の基本です。たとえば、店舗でレジをしめて32円の誤差があったとき、自分のお金で帳尻を合わせるのではなく、きちんと報告するといった当たり前の真面目さです。その上で、リスペクトできる何かを持っている人に、私はその人の魅力や優れた資質を感じます。
人事採用担当と並行して担当しているのが、店舗開発。新店舗出店の取り組みです。ただ当社の場合、基本姿勢として自ら市場調査や物件情報を収集して、積極的に多店舗展開するという戦略を取っていません。たとえば、商業ビルであればテナント誘致のオーダーを受けてから検討に入ります。商流や立地、他店舗の動向、採算など、当社の考える出店条件にかなえば、新規出店となります。そもそも、そのエリアにワイシャツを着ている人口が多いかどうかは重要なポイントで、必然的に出店エリアは限定的なものとなります。ちなみに昨年は、大阪エリアに3店舗出店しました。
人事採用担当として、今後取り組んでいきたいのは、今まで以上に働き甲斐のある会社に進化させたいということです。「やりたいことができる風土」がある中で、実際にみんなが「やれる道」を作ること、この会社で働くことに充実感を感じ、この会社で働く喜びを感じてもらう、そのための仕組みや制度、風土作りを手がけていきたいと思っています。一方で社員の意識改革も必要と感じています。ワクワク、ドキドキするようなことに積極的に取り組むような、社員意識を醸成していきたいと思っています。また当社はニューヨーク2店舗に続き上海進出も決定しています。次は、洋服の本場である欧州市場進出も射程に入ってきています。今後、様々な形で当社の海外展開に関わることで、優れた製品=鎌倉シャツを世界に発信していきたいと考えています。
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